第7話*俺の勘 ページ8
仁王side
〜Aさんと別れた後〜
仁王「ふっ、参謀の予想通りじゃのう、あいつは絶対に屋上にくる…か。ほんまに来よった。」
にしても、昨日の部活見学の時に、見せた顔とは変わりすぎとったような。
ブン太「珍しいな、仁王が考え事してんのかよ？」
仁王「丸井、人の机に菓子をボロボロ落とすんはなしじゃ。」
柳「仁王。ちょっといいか？」
丸井が新発売の菓子について熱く語り出すと同時に、俺の名前が呼ばれた。
仁王「すまんな、丸井。参謀がお呼びじゃ。」
どうせ、あのマネージャー候補のことだろう。
柳「仁王、立華Aさんのことだが、なにかなかったか？」
立華？…あぁ、あのマネージャー候補の名前か。
仁王「浮かない顔して謝って来たぜよ。でも、ちょっとちょっかい出したら、慌てた顔しとったのう。なかなか面白いやつじゃ。」
柳「やはり屋上か。すまなかったな、助かった。」
そう言って屋上への階段に足をかける参謀を、なぜか呼び止めていた。
なぜか、分からなかった。でも、今は参謀が行かない方がいい、そんな予感がした。
柳「？なんだ、仁王。」
参謀はデータを集めることに熱中しすぎて、人の気持ちの深くまで考えてやれない時がある。
仁王「参謀〜、もう行っちゃうの〜？まーくん寂しいぜよー。」
勘が鋭い参謀に回りくどく伝える。
これでもコイツなら察するだろう。
柳「ふっ、分かった。今は行かないことにする、まーくんに免じてな。」
やっぱりな。
仁王「さすが参謀、話が早いぜよ。」
柳「幸村の頼みだ、と知らないうちに焦ってしまっていたのかもしれないな。」
仁王「真田じゃああるまいし、そんなに焦らんでもええと思うぜよ。結局は、立華が決めることじゃき。」
丸井「なぁ、おい。遅いぜ仁王！柳も！早くこっち来いよ。お前も新発売のお菓子試食会に参加、もちろんするだろぃ？拒否権ねぇーけど！」
しびれを切らした丸井が呼びに来た。
仁王「んじゃ、参謀。俺1人じゃ丸井の相手は無理だ、付き合ってもらうぜよ？」
柳「ははっ、たまにはこういうのも悪くないかもしれないな。それなら、精市たちも呼んでこよう。人は多い方が楽しい、からな。」
ふっ、参謀のやつ、中学生らしいことを言いよって、悪くないぜよ。
仁王「ピヨッ」
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作者名：まよねず | 作成日時：2019年6月17日 19時
