第1話*氷帝からの転校生 ページ2
貴方side
春休みが始まってすぐ、お父さんの転勤が決まった。お母さんはお父さんの昇進で舞い上がっていたけど、私はそんな気持ちにはなれなかった。
心残りだったのは…きっと、テニス部の全国までをこの目で見れなかったことかな。
だから、春休みはギリギリまで部活に明け暮れた。最後まで彼らの汗を、熱を、涙を、笑顔を、目に焼き付けた。
新しい私の部屋で、飾った寄せ書きを眺める。
“今日から
中央に書かれた榊監督のメッセージをなぞって読むと、なんだか見守ってもらえている気がした。
✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――✽+
先生「皆も、もう知ってるよね。今日は転校生が来ました。じゃあ、入っておいで！」
『あ、はい！』ｶﾞﾗﾗｯ
『初めまして、立華 Aと言います！前は氷帝学園にいました。よろしくお願いします！』
クラスは２ｰＤ、みんながよろしくー。はじめまして！って声を掛けてくれた。
とりあえず、1番緊張する自己紹介は乗り切ったぞ！
先生「そうね〜。席は切原君の後ろかな。」
赤也「お、俺の後ろっスかぁ？…よ、よろしく。」
眠そうな彼は、頭をかいて照れたように、小さい声だったけど、声を掛けてくれた。
『うん！よろしくね。』
先生「じゃあ、ホームルームの続きを…」
前の席の…切原君だっけ？
天然パーマなのかな、髪くるくるしてかわいい。
…それに、机の横に置いてある“テニバ”。テニス部なんだ切原君。
そういえば、立海ってテニスの名門校だよね、今年全国で勝てば…3連覇。
いや、今年は氷帝が勝つんだから！…って、もう私は氷帝の生徒じゃないのかぁ。
なんだか、複雑な気持ちでホームルームを終えた。
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作者名：まよねず | 作成日時：2019年6月17日 19時
