最後のふたり。 (ページ5)

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「ベク、私いっぱい食べるけど、ひかないでね」
「今更言うの？Aちゃん」

テーブルに運ばれてきた山盛りポテトは名前の通りほんとに山盛りだった。

「あ、Aちゃんってこの子？」
「仕事もどれチャニョル」

ポテトを運んできたイケメンがどうやらベクのお友達らしい。ふーん、イケメンの友達はイケメンか。

「俺、ベクの友達のチャニョルっす！
よろしくね～Aちゃん」

そういってにこにこ笑ったチャニョル君は
そのまま戻っていった。
てかめっちゃスタイルいいじゃん。イケメンだし。
ギョンスと同じところなんか目が大きいところぐらいじゃん。あ、あと声が低いところ。

「あいつは彼女いるよ」
「へ？」
「チャニョル！目で追ってる！」

あー、なんだ。追ってたか。
ギョンスとイケメンの間違い探しをしてたなんて言えないけど。

ーー
ー

「ギョンス君、それでね」
「…」
「ギョンス君？」

隣にいる私の声さえも今の彼にはどうやら聞こえないようだった。
彼が見つめる方には、一人の女の子と一人の男の子。
私たちの前を仲良く通っていった二人をギョンス君は
じっと見つめて、そして、ふと我に返ったようだった。

「ごめん、どした？」

私に向ける視線は優しい。
私にかける声は甘い。

「んーん。ギョンス君、退屈？」
「そんなわけないよ。続き、話してよ」

私はギョンス君の全てが好きなのに、ギョンス君は私を通して違う誰かを想っているのはもうずっと気づいていた。

「あ、それより、さっきのAさんだったよね？
男の子といたみたいだけど、彼氏かな？」
「本当に？僕、Aのこと見てなかったや」

嘘つき。じっと彼女を見つめてたくせに。
ギョンス君の好きな人は、Aさんのくせに。

ーー
ー