皮肉な皺合わせ ページ4
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次の日、虎杖は夜蛾学長の元へ行き、
なんとか合格をもらい、呪術高専への転入を果たした。
虎杖悠仁の転入の話を耳にしたAは顔色一つ変えずに、任務へ出かける準備を始める。また遠方への任務だった。
『…』
五条「浮かない顔だね、可愛い顔が勿体ない。」
荷物をまとめて、
寮から出ると五条悟がAを待っていた。
『浮かないというよりも、
これだけ任務が続くとさすがに疲れる。』
特級呪術師であり、
どんな任務でもこなせる彼女には
毎日山のような任務が流れ込む。
最近は特にひどい任務量だった。
五条「うーん、君も早く卒業しなくちゃね。
今は学生の身だから、仕方ないよ。」
『私の代わりにお前がやればいい任務もあるんだがな』
五条「ん〜?
僕は先生で、君は学生。
何を生意気なこと言ってるのかなぁ?」
背の大きな五条はわざとらしく、
腰を曲げてAと目線を合わせる。
五条「アッ、そうだ。
悠仁、ちゃんと転入できたから。」
口角をあげて、五条はそういった。
それを見てもAは表情を一切変えなかった。
五条「アレ、全然喜ばないじゃん。」
『別に喜ばしいことではないだろう』
Aの言葉に五条は表情を曇らせた。
彼女はただ虎杖を同情していた。
もう二度と、普通に生きることは許されない。
五条「…言い方の問題さ。
“悠仁は、生き残る術を見つけた。”
こういえば、喜ばしいことだろう?」
『それは皮肉だな。
少なくとも上層部や他の呪術師たちにとって、
虎杖悠仁の命の価値は、
両面宿儺の指の本数で測られることになる。
そしていつかは殺されるんだろう?
宿儺が暴れても殺され、指を全て食っても殺される。
____あまりにも酷い話だ。』
彼女は呪術師として生きてきた過去よりも、呪霊として生きてきた過去のほうが長い。しかし、その“生きる”という感覚は誰よりも人間に近かった。
五条「酷い、話か…。」
Aも虎杖と同じぐらいの酷い境遇に晒されて生きてきた。だからこそ、彼女は虎杖に強い同情心を持っている。
五条「確かにそうかもしれない。
でもね、悠仁はそんなふうには思ってないよ。
一度、悠仁と話してみるといい。」
『…機会があればな』
そう言い、Aは補助監督の元へ向かっていった。
五条「任務、気をつけてねー」
五条はその背中に手を振るが、
振り返すことはなかった。
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.(プロフ) - レナさん» コメントありがとうございます。お待たせしてしまって申し訳ございません。これからもよろしくお願いします🙇♀️ (10月4日 22時) (レス) id: e37fca8de3 (このIDを非表示/違反報告)
.(プロフ) - ツバキさん» 読んでくださり、ありがとうございます。これからも少しずつ更新していくのでよろしくお願いします🙇♀️ (10月4日 22時) (レス) id: e37fca8de3 (このIDを非表示/違反報告)
.(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます。更新は遅くなりがちですが、これからもよろしくお願いします🙇♀️ (10月4日 22時) (レス) @page37 id: e37fca8de3 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!次の更新楽しみにしてます!!! (9月24日 15時) (レス) @page37 id: 804790a45e (このIDを非表示/違反報告)
ツバキ(プロフ) - 面白すぎて一気見ました!!最高です更新楽しみにしてます! (9月19日 21時) (レス) @page37 id: 340cc653a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:. | 作成日時:2022年8月30日 22時