青が過ぎる ページ23
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Aside
伊地知が運転する車の後部座席から、流れていく雲と木々を眺めていた。隣には長い脚を器用に降り畳んだ五条悟がいる。伊地知は任務がないにも関わらず、五条に朝早く起こされたのだろうか…と思うと、やはり不憫だった。
五条「そういえば、学長との打ち合わせって何時からだっけ?」
伊地知「本日の20時からです。」
二人の会話を聞き流しながら、外を眺めていると、呪術高専内の森ばかりだった景色が都会の色になった。
伊地知「ところで、本日はどういった要件で“
五条「あ?」
伊地知「あっ、あっ、いえ、その、詮索というわけではなく、す、少し気になったので、すすすみません、お気になさらず…」
どうやらその呪術を研究している人間は、“三瀬”という名前らしい。
五条「Aに会わせろってうるさくて」
伊地知「そ、そうなんですね…」
五条「俺付き添いでならいいよって了承したんだ。」
「そうですか…」と、伊地知は声にならない小さな声でそう言った。
『伊地知はその教授に会ったことあるのか?』
伊地知「えぇ、まぁ。私は補助監督として報告書をまとめたりする際にわからないことがあったら三瀬教授に聞いたり、あと三瀬教授から呪霊サンプルの依頼を受けたりしてますので、月に1、2回は会ってるかと」
『…そう。』
つまり、私は彼にとってただのサンプルなのだろう。
伊地知「この呪術界において三瀬教授の貢献度はとても高く、家入さんとも共同解剖するほどの実力をお持ちで__」
五条「伊地知」
伊地知「は、はいっ!」
五条「少し喋り過ぎかな」
『…』
伊地知「も、申し訳ございません…!」
伊地知は声を大きくして謝る。
今、五条は明らかに伊地知の説明を遮った。それが何を意味しているのかはわからないが、私に伝えたくないことがあるのだろう。しかしそれにしてはあからさまだ。
『五条』
五条「なんだい?」
『お前、その三瀬という教授のことが嫌いなのか?』
五条「…バレた?」
『…』
五条は笑った。
『いい大人が』
窓の肘をついて、外を見れば
あたりは既にビルが立ち並んでいた。
五条「僕は君よりは子供だよ♡」
『…』
五条「アーッ、術式使わないで!」
大きな体を縮こまらせて、「石にしないで!」と叫ぶ五条。朝からよくそんなに声を出せるもんだ、と思いながらまた外を眺めた。
ほんとうに今日は空の青さが過ぎる。
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.(プロフ) - レナさん» コメントありがとうございます。お待たせしてしまって申し訳ございません。これからもよろしくお願いします🙇♀️ (10月4日 22時) (レス) id: e37fca8de3 (このIDを非表示/違反報告)
.(プロフ) - ツバキさん» 読んでくださり、ありがとうございます。これからも少しずつ更新していくのでよろしくお願いします🙇♀️ (10月4日 22時) (レス) id: e37fca8de3 (このIDを非表示/違反報告)
.(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます。更新は遅くなりがちですが、これからもよろしくお願いします🙇♀️ (10月4日 22時) (レス) @page37 id: e37fca8de3 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!次の更新楽しみにしてます!!! (9月24日 15時) (レス) @page37 id: 804790a45e (このIDを非表示/違反報告)
ツバキ(プロフ) - 面白すぎて一気見ました!!最高です更新楽しみにしてます! (9月19日 21時) (レス) @page37 id: 340cc653a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:. | 作成日時:2022年8月30日 22時