帳があがる ページ46
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『ふぅ…』
5分で終わらせるとか言いながら、
結局20分ほどかかってしまった。
500と言いつつ、
もっといたんじゃないかなとは思う。
1000ちょい?
そのせいで呪霊の体液がついた屠坐魔は
刃こぼれしそうなほどボロボロになっていた。
『術式なしは辛い…』
術式ってある意味チートなんだなと思う反面、
呪力のない真希が簡単に呪霊を祓うことの凄さを
改めて実感した。
_____ビリッ
深く重たい呪力が微かに肌に触れた。
伏黒が戦っている方角からだった。
その方面へ早足で向かう。
すると、仰向けで倒れてる伏黒がいた。
そして、帳があがる。
どうやら伏黒はちゃんと呪霊を祓ったらしかった。
ボロボロになって、
呆然と天を仰いでいる伏黒。
『死んでる?』
伏黒「死んでません」
即答した。
でも頭から血は出ているし、
制服から少し血が滲んでいるようにも見える。
『良かった』
伏黒「…」
喋る気力もあまりないようだった。
伏黒「なにしてんすか」
しゃがんで、伏黒の額に手を当てる。
『頑張ったから、撫でてる。』
下手くそな反転術式でも、ないよりはマシ。
完全に傷を治すことはできないが、
止血程度ならなんとかできる。
不服そうな顔をしたが、
反転術式をされてることに気づき、
反論はしてこなかった。
しばらくすると痛みがなくなったのか、
少しだけ表情が和らいだ。
『すまない、気休め程度にしか治せない。』
伏黒「いえ、すみません…ありがとうございます。」
と、伏黒は起き上がった。
『歩ける?』
伏黒「…はい 」
『じゃあ、帰ろう。』
伏黒の腕を持ち、
自分の肩に乗せ、一緒に立ち上がる。
伏黒は立ち上がるのがやっとで、
私にかなりの体重をかけていた。
それを支えるために、
左手で肩に回った伏黒の腕を持ち、
腰に右腕を回した。
伏黒「Aさん…」
『なに?』
伏黒「もし、俺がアンタのことを“好きです”って言ったら困りますか?」
私の耳元で伏黒はそういった。
極限まで体力を減らしてしまった男の末路。
私情と私欲と虚ろが入り乱れてしまっているようだった。
『……そうだな。困るからやめてくれると助かる。』
そういうと、ふっと笑わらわれた。
伏黒「そうですよね、すみません」
また二人でゆっくり歩き出す。
既に帳の外は日がくれていた。
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すずのあい(プロフ) - どうも特級呪霊ですが凄く素敵で、続きがあるのがとても嬉しいです。ありがとうございます。作者様の文章とても好きです、応援してます。 (2023年3月22日 4時) (レス) id: 9d705cdcb3 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - このお話はどうも特級呪霊です。の続きですか?同じ主人公ですか? (2022年12月12日 19時) (レス) id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 杞鞠さん» コメントありがとうございます。私はとしまえんに行ったことがなく、閉園する前にあのメリーゴーランドに乗ってみたかったのでお話に出させて頂きました。私の憧れと杞鞠様の思い出が一致したようでとても嬉しく思います。 (2022年10月9日 12時) (レス) id: 2200f9fcc5 (このIDを非表示/違反報告)
杞鞠(プロフ) - コメント失礼します。【としまえん】が出てきて、つい懐かしく感じコメント入れてしまいました。思入れのある場所もお話に組み込まれて嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年9月24日 3時) (レス) @page36 id: 6ec4929f5b (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - あむさん» ありがとうございます!そのようなご感想を聞けてとても嬉しいです☺️これからもよろしくおねがいします! (2022年8月19日 20時) (レス) id: 7f6e3c2139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:0000 | 作成日時:2022年5月14日 23時