どうも特級呪術師です。

貴方の隣でなくてもいい ページ43

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伏黒恵







伏黒「…」





Aさんの話は俺の想像を遥かに超えていた。


呪霊や呪力、呪術師、呪詛師…
この世にはまだわからないことが沢山ある。

呪霊を祓うようになってから、
不可解なことに遭遇する機会は多く、
幼い頃よりも耐性はついていたつもりだった。





でも、あまりにも理解できないほどの話を聞いたときには、リアクションも取れずに唖然とするしかなくなる。




『五条や乙骨がいる時代まで生きてよかったよ。食べ物も美味しいし、ゆっくり眠れる温かい布団もある。それに、伏黒とも会えてよかったと思っている。メリーゴーランドの楽しさを知らないまま、この時代を生きるのはもったいないだろう？』





この人はバグっている。

500年以上も前に生まれ、
呪霊の扱いを受けながら現代まで生きて、
その間に何回も殺されては生き返ってきたのに、
誰のせいにもせず、それを受け入れ続けてきた。


理不尽な死を突きつけられ、
地獄のような苦痛を浴びてきたはずなのに、、、


【メリーゴーランドの楽しさを知らないまま、
この時代を生きるのはもったいないだろう？】


だなんて、頭のネジが外れてる気もする。









だけど、この人は、
いろんなことを考えているんだ。


だから、
今はその言葉が適切だと思ったから
俺にそういった。



慰められたいわけじゃないし、

心配されたいわけでもない。


やっと手に入れた人間として生きる道を
ただ、歩んでいきたいだけなんだと思う。




伏黒「だから、
“ワケあり”の特級呪術師って言われるんですね」



『意外とすんなり受け入れてくれるんだな、この話を』




伏黒「受け入れるもなにも、



…アンタが500年も前に生まれてて、
何回も殺されて生き返ってきたなんて、
正直信じられませんよ。



五条先生と企んで俺を弄んでると思ったほうが、
よほど現実味があります。







……でもAさんが


俺に『会えてよかった』って、


思ってくれてたなら、


もうそれだけでいいです。」





俺はこの人の過去にタイムスリップして助けるヒーローになれるわけじゃない。




伏黒「俺もメリーゴーランド乗りたいんですけど、
Aさんも来ます？
もしかして、もう飽きましたか？』



五条先生みたいに感謝されることもない。
乙骨先輩みたいに心の拠り所になれることもない。



『飽きると思うか？』



それでもいい。

ただアンタが幸せなら、もう、それでいい。

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