生きることは苦であり幸 ページ42
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私が人間だとわかったのは、
夜蛾のおかげでもあり、
皮肉にも、
500年前に私とあの人を殺した呪霊のおかげだったこと。
そして五条と伊地知、皆のおかげで、
今、特級呪術師として生きていること。
『……色々あったけど、
五条悟のおかげで今こうやって生きている。
本人には言いたくはないが、奴には感謝している。』
話しているうちに、気持ちは落ち着いてきた。
私は今、恵まれている。
幸せものだ。
そう、再確認したからだと思う。
『五条や乙骨がいる時代まで生きてよかったよ。
食べ物も美味しいし、ゆっくり眠れる温かい布団もある。
それに、伏黒とも会えてよかったと思っている。
メリーゴーランドの楽しさを知らないまま、
この時代を生きるのはもったいないだろう?』
伏黒は何も言わずに最後まで話を聞いていた。
ソフトクリームは溶けかけていて、
慌てて二人で口に含んだ。
伏黒「だから、
“ワケあり”の特級呪術師って言われるんですね」
伏黒から質問責めにされると思ってだけど、
奴は私以上に落ち着いていた。
『意外とすんなり受け入れてくれるんだな、この話を』
伏黒「受け入れるもなにも、
…アンタが500年も前に生まれてて、
何回も殺されて生き返ってきたなんて、
正直信じられませんよ。
五条先生と企んで俺を弄んでると思ったほうが、
よほど現実味があります。」
…受け入れてもらえたわけじゃないらしい。
伏黒「でもAさんが
俺に『会えてよかった』って、
思ってくれてたなら、
もうそれだけでいいです。」
でも、伏黒は微笑んでいた。
そしてソフトクリームを食べ終わると立ち上がって、
伏黒「俺もメリーゴーランド乗りたいんですけど、
Aさんも来ます?
もしかして、もう飽きましたか?」
と、言ってきた。
伏黒なりの気遣い。
そして、これが彼の意思表明。
少し生意気だけど、まぁ可愛いから、許すしかない。
『飽きると思うか?』
これが私の答え。
案外、すんなりと私の自己開示は終わった。
こうやってこのまま人間として、
生きていけるのなら、どれだけ幸せだろうか。
言葉を発することに一喜一憂して、
眠くなったら目を閉じて、
美味しいものを食べて、
何度もメリーゴーランドに乗れる。
ただ今は、生きている幸せを噛み締めていたい。
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すずのあい(プロフ) - どうも特級呪霊ですが凄く素敵で、続きがあるのがとても嬉しいです。ありがとうございます。作者様の文章とても好きです、応援してます。 (2023年3月22日 4時) (レス) id: 9d705cdcb3 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - このお話はどうも特級呪霊です。の続きですか?同じ主人公ですか? (2022年12月12日 19時) (レス) id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 杞鞠さん» コメントありがとうございます。私はとしまえんに行ったことがなく、閉園する前にあのメリーゴーランドに乗ってみたかったのでお話に出させて頂きました。私の憧れと杞鞠様の思い出が一致したようでとても嬉しく思います。 (2022年10月9日 12時) (レス) id: 2200f9fcc5 (このIDを非表示/違反報告)
杞鞠(プロフ) - コメント失礼します。【としまえん】が出てきて、つい懐かしく感じコメント入れてしまいました。思入れのある場所もお話に組み込まれて嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年9月24日 3時) (レス) @page36 id: 6ec4929f5b (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - あむさん» ありがとうございます!そのようなご感想を聞けてとても嬉しいです☺️これからもよろしくおねがいします! (2022年8月19日 20時) (レス) id: 7f6e3c2139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:0000 | 作成日時:2022年5月14日 23時