回転木馬 ページ38
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伏黒
遊園地の敷地を歩くたびに
Aさんは『あれは何だ』と尋ねてきた。
本当に見るものすべてが初めてのものだったらしい。
『…すごいな』
いつもどおり冷静さを保っているけれど、
ワクワクしてるのが隠しきれていない。
豪速のジェットコースターが通り過ぎ、悲鳴を耳にすると、『あれは拷問か何か、か?』と真剣な表情で尋ねてくる。
伏黒「そうやって楽しむものなんですよ。」
『理解できないな。あれを好んで乗る奴がいるなんて。』
と、ブツブツ言っていた。
ただAさんに遊園地のことを
色々教えて歩き回ってるだけなのに、
それだけでも俺は十分楽しんでいた。
『!!』
すると、Aさんは指をさした。
『あれは、回転木馬だろ?
これだけは写真で見たことがある!』
メリーゴーランドを回転木馬っていう人は初めてだった。
伏黒「随分と古い言い方ですね。
メリーゴーランドですよ、あれは」
『へぇ、、、』
伏黒「遊園地来たことなかったり、
回転木馬って言ったり、ほんと変な人ですね。」
『…』
俺が“変な人”呼びしても、
Aさんは全く反応せず、
きらびやかなメリーゴーランドに釘付けだった。
伏黒「乗ってきていいですよ。」
『……』
伏黒「俺は乗りませんけど、乗りたいならどうぞ。」
【それではいってらっしゃ〜い♪】
Aさん、本当にメリーゴーランド乗った…
伏黒「(…マジで掴めない人だ)」
クールなのか、ボケてるのかわかりにくい。
『…』
心なしか楽しそうだし。
『!』
伏黒「…」
そして俺に気づいて、手を振ってきた。
…毎回俺のところに来たら手を振るつもりなのかな、この人。
もしかして、
メリーゴーランドが何周もすること知らないのか?
手を振り返すことも恥ずかしい。
でも、とりあえず手を振り返さないと
後からなにか言われそうだと思って、
手を振り返した。
伏黒「…」
“あのカップル可愛い”
“彼女さんがメリーゴーランド乗ってて、
彼氏さんが手振ってるんだけど、
イチャイチャ可愛すぎない??”
“青春だね、制服着てるから学生だろうね”
という、周りから声が聞こえてくる。
無心になれ。
どうってことない。
気にするな、俺。
そして2周目。
俺に気づかずに持ってる棒の上の部分を眺めていた。
伏黒「…」
ちなみに後ろの5歳児も、同じことしてた。
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すずのあい(プロフ) - どうも特級呪霊ですが凄く素敵で、続きがあるのがとても嬉しいです。ありがとうございます。作者様の文章とても好きです、応援してます。 (2023年3月22日 4時) (レス) id: 9d705cdcb3 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - このお話はどうも特級呪霊です。の続きですか?同じ主人公ですか? (2022年12月12日 19時) (レス) id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 杞鞠さん» コメントありがとうございます。私はとしまえんに行ったことがなく、閉園する前にあのメリーゴーランドに乗ってみたかったのでお話に出させて頂きました。私の憧れと杞鞠様の思い出が一致したようでとても嬉しく思います。 (2022年10月9日 12時) (レス) id: 2200f9fcc5 (このIDを非表示/違反報告)
杞鞠(プロフ) - コメント失礼します。【としまえん】が出てきて、つい懐かしく感じコメント入れてしまいました。思入れのある場所もお話に組み込まれて嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年9月24日 3時) (レス) @page36 id: 6ec4929f5b (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - あむさん» ありがとうございます!そのようなご感想を聞けてとても嬉しいです☺️これからもよろしくおねがいします! (2022年8月19日 20時) (レス) id: 7f6e3c2139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:0000 | 作成日時:2022年5月14日 23時