言わなければ伝わらず ページ29
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正直、あれからどうやって女子寮に戻ったのかは覚えてない。昨日の服のまま、気絶するようにベッドで寝ていた。
_____________時計は午前7:00。
昨日の乙骨と話したことも、
伏黒と話したことも、
遠い記憶のような感覚だった。
『…シャワー…浴びよ。』
なんで昨日あんなに取り乱したんだろう。
なんであんなに悔しくて悲しくなったんだろう。
そんなことを考えれるほど冷静さを取り戻していた。
シャワーを浴びているときに、脳内に流れ込む伏黒の言葉。
“
…俺はアンタが一人で生きようとしてるところが嫌なんです。
”
私は伏黒に理解されたかったのかもしれない。
今まで一人で生きてきたことも、一人で耐えてきたことも。
それをただ“頑張ってたんだね”って、言われたかった。
私が【人】として生きていたことを肯定されたかっただけなんだ。
そんな願望が根本にある。
でもそれが話せるか否かはまた別問題。
話したいかと言われれば、話したいわけじゃない。
しかしまぁどっちにしても私の過去を知らない伏黒に、
何も言わずに理解しろなんて到底無理な話だった。
自己中心的な考えなのは、伏黒じゃなくて私のほうだった。
髪の毛を乾かして、制服に着替える。朝日がこんなにも爽やかな時間帯に外に出るのは久しぶりだった。
「Aさん_________」
名前を呼ばれて、振り返ると、ジャージ姿の伏黒がいた。どうやらランニングをしていたようだった。日課なのだろうか。
伏黒「あの、俺___________」
『おはよう』
伏黒は謝ろうとしていた。
今、私は伏黒に謝らせたいわけじゃない。
だから、まずはただの挨拶を。
伏黒「…おはようございます」
素直に伏黒も挨拶をした。
昨日と私の差に混乱しているようにも見えた。そうなるのもおかしくはない。私自身もここまで冷静になったことに関しては驚いているのだから。
『昨日は悪かった。』
伏黒「…」
『やはり感情的になるのは良くないと反省した。
だから今から』
ちゃんと話そうと思う。
と、言おうとしたときに伏黒は遮った。
伏黒「謝らないでください。
別に感情的になることが悪いことじゃないです。」
「…また生意気言って、すみません。怒らせたいわけじゃないです。」と目線をそらし、ぼそっと言った。やっぱり私は伏黒が苦手だと思った。この男は私の弱みをしっかりと踏み抜いてくる。
あの二人とは違う。
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すずのあい(プロフ) - どうも特級呪霊ですが凄く素敵で、続きがあるのがとても嬉しいです。ありがとうございます。作者様の文章とても好きです、応援してます。 (2023年3月22日 4時) (レス) id: 9d705cdcb3 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - このお話はどうも特級呪霊です。の続きですか?同じ主人公ですか? (2022年12月12日 19時) (レス) id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 杞鞠さん» コメントありがとうございます。私はとしまえんに行ったことがなく、閉園する前にあのメリーゴーランドに乗ってみたかったのでお話に出させて頂きました。私の憧れと杞鞠様の思い出が一致したようでとても嬉しく思います。 (2022年10月9日 12時) (レス) id: 2200f9fcc5 (このIDを非表示/違反報告)
杞鞠(プロフ) - コメント失礼します。【としまえん】が出てきて、つい懐かしく感じコメント入れてしまいました。思入れのある場所もお話に組み込まれて嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年9月24日 3時) (レス) @page36 id: 6ec4929f5b (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - あむさん» ありがとうございます!そのようなご感想を聞けてとても嬉しいです☺️これからもよろしくおねがいします! (2022年8月19日 20時) (レス) id: 7f6e3c2139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:0000 | 作成日時:2022年5月14日 23時