幸せで溶けてしまいそうな夢の中へ ページ11
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五条悟
『スーッ……スーッ…』
と、起き上がらせて、抱きかかえれば、
スヤスヤとすぐに寝付いてしまった。
Aは、相変わらず眠気に弱いらしい。
五条「…」
さっきまでボーッと力の入っていない目だった。
遊び疲れて今にも充電が切れそうな赤子のように、
ウトウトしながら『…あぁ、ごめん』と謝られたら、
許すしかないだろう。
抱きかかえたまま、瞬間移動で家に戻って、
ベッドに寝かせようとした。
だけど、
Aはギュッと俺の服を握ったまま、
心地よさそうに寝ている。
五条「…」
体温が高く、
小さな身体、
長いまつげ、
つんと少し膨らんだ唇、
呼吸のたびにゆっくりと膨らむ胸、
愛おしい以外の感情なんてない。
五条「…お前、ほんとうに可愛いな」
頭を撫でれば、 『ん…』と少し嫌そうに顔を歪めた。
五条「…ふっ……」
九州派遣でAがいなくなったすぐの一週間は、
とにかく寂しくて、死にそうだった。
だから、帰ってきたらどうやり返そうか、
どうやってAを懲らしめようか、
そう思っていた。
だけど、そんなことはもうどうでもよくなった。
たった数分でチャラになるぐらい、
すぐに幸せになってしまったんだ。
五条「はぁ……」
抱きしめてAの髪の香りを吸う。
花のよりも人工的で、でも心地がいい香りが充満する。
このまま俺も寝てしまいたい、
この匂いに包まれて、
この体温を感じながら寝たい、
そう思っていたうちに、
俺も目を閉じていた。
‥
カーテンから指す光の眩しさで目を冷ました。
目の前でAはまだ寝ていた。
半開きの口に髪が入りそうになっていたから、
それを退けてやろうと頬に手が触れれば、
『ん……』と、
微かにAは目を開けた。
五条「…おはよ」
おはようと声をかけても、
Aはまだ寝ぼけていて、
布団に顔をこすりつけた。
『…はよ』
あぁ、なにもかもが可愛い。
五条「ねぇ」
『…なに……?』
五条「ぎゅーしていい?」
Aの返答も待たずに、ぎゅーーっと抱き寄せた。
やっぱりこいつは体温が高いんだ。
俺だけが知っている、こいつの体温。
『…五条』
五条「なに?」
『…もう少し寝ていい?』
五条「いいよ。」
そういうと、また眠る。
ただひたらすらに幸せの朝を迎えた。
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すずのあい(プロフ) - どうも特級呪霊ですが凄く素敵で、続きがあるのがとても嬉しいです。ありがとうございます。作者様の文章とても好きです、応援してます。 (2023年3月22日 4時) (レス) id: 9d705cdcb3 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - このお話はどうも特級呪霊です。の続きですか?同じ主人公ですか? (2022年12月12日 19時) (レス) id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 杞鞠さん» コメントありがとうございます。私はとしまえんに行ったことがなく、閉園する前にあのメリーゴーランドに乗ってみたかったのでお話に出させて頂きました。私の憧れと杞鞠様の思い出が一致したようでとても嬉しく思います。 (2022年10月9日 12時) (レス) id: 2200f9fcc5 (このIDを非表示/違反報告)
杞鞠(プロフ) - コメント失礼します。【としまえん】が出てきて、つい懐かしく感じコメント入れてしまいました。思入れのある場所もお話に組み込まれて嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年9月24日 3時) (レス) @page36 id: 6ec4929f5b (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - あむさん» ありがとうございます!そのようなご感想を聞けてとても嬉しいです☺️これからもよろしくおねがいします! (2022年8月19日 20時) (レス) id: 7f6e3c2139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:0000 | 作成日時:2022年5月14日 23時