こんにちは、お隣さん。【lntn】

考えるお隣さん ページ14

「片付けよっと」

 体が重たいが、今ここで寝てしまったら昼まで起きなくなる。今のうちにやっておくのがベストだろう。

「……藤山さんの動画見てみたいな」

 なんて名前でやっているのだろう。片付けながら、藤山さんのことばかりを考えていた。それが恥ずかしくなって、酒に酔って熱くなっている顔を、さらに熱くさせた。誤魔化すように、部屋の窓を開けた。風が部屋に入り込んでくる。

「藤山さんの匂いがする……」

 気づかなかった。部屋の中の空気が風で動いていく。そして、そんなことを独り言で口走った私はちょっと気持ち悪い。うわあ、とその場で蹲った。片付けも思うように進まない。藤山さんのことを考えている自分。なんで部屋に呼んだの私。

「ちょろいのかな私……」

 藤山さんは隣人で、話の合うお友達。藤山さんはどうかな。私のことお友達だと思ってくれてるかな。

「ダメだ！ 今日はもう、寝る！」

 寝ることにした。酔っているからこんなことを考えてしまうのかもしれないし。寝てリセットするしかない。明日昼に起きて掃除しよう。さっきと思ってることは違うけど。窓を閉めて寝る支度をし、布団に潜り込むと、私の意識はすぐに眠りについていった。
 その間、私はずっと、藤山さんのことが頭から離れないでいた。

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