だって、/mnpn+α ページ28
ツインテールが宙を舞う。可愛い顔に似つかわしくない赤い液体が、頬に付着していた。カボチャをモチーフにしたピンク髪の彼女。私が危ない目に遭った時にだけ現れる少女。
「……ミンキーピンキー」
「はあい！ ミンキー来ちゃいました！」
じゃら、と鎖で繋がれたその刺々しい鈍器の下敷きになっている、先程まで人だったもの。こいつは私のことを襲おうとして、ミンキーが返り討ちにした。
「も〜、夜道に一人で歩いちゃダメ！」
「ごめんね、ありがとうミンキー」
「ま、ミンキーのお陰で助かったんだけどね！」
可愛く私にウィンクする。私はハンカチを取り出してミンキーの頬を拭うと、きゃー！ と彼女は女の子らしい仕草で照れた。まるで純粋で残酷な子供のような笑みを浮かべて、これどうしよっかなどと言っている。
「いいんじゃない。放っておけば」
「え〜？ でも汚いし〜」
「ミンキー、そろそろ帰る時間じゃない？」
「あっ、そうだった〜！ 怒られちゃう！」
じゃあまたね！ と彼女はよく分からない生き物をふよふよ連れて立ち去る。この場には物体と私が残された。このままここにいたら私が疑われるだろう。ポケットに入っているスマホが鳴る。「今どこ？」と表示されたメッセージを見て、私はあっ、と声を上げた。
「いけない、起きちゃった」
早く帰ろうっと。帰ったらこっぴどく、彼に叱られることだろう。ミンキー、また会えるといいな。家に帰ると、不機嫌そうな彼が私を出迎えた。
「夜中に出かけるな」
ごめんね。彼を抱きしめると、微かに鉄の匂いがした。心配したんだよ、と私の顔を眺めながら、また眉間に皺を寄せた。ぬるい体温が伝わってくる。
「何かあったら、守ってよね、蘭たん」
「……俺にだって限界があるよ」
何かついてるよ、彼の髪に触れた。赤い液体が付着する。彼は焦ったように目を逸らした。
「あーどっか、ぶつけたみたい」
「気をつけてよね」
あの子が守ってくれるよ。だってミンキー、魔法少女だもん。
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作者名：ぷりん | 作成日時：2020年11月11日 13時
