神に背いた後の祭り/らんちゅっぱ ページ18
※マダミスネタバレ注意
- その日、彼の体温は妙にぬるく、そして微かに血生臭さを感じた。瞳はしっかりと私を見ているのに、彼は別のことを考えながら私を抱いていた。確実に、今日の出来事で興奮が収まらないのだろう。終わった後、彼は切ない表情で、震えた声で母の名前を呼んでいて、私はただそれを眺めることしかできなかった。
「罰を受けなくちゃね」
「……それは、私もだ」
「そっちは神を信じてないでしょ?」
だからもうこれで終わり。かぼちゃの形のネックレスを私に渡す。
「みどりもらんちゅっぱも、消えるよ」
でも忘れられるのが怖い。私の髪を撫で、頬に触れる。
「じゃあ、何になるの?」
「何にもかな〜。もうさ、俺の事なんか……」
続きの言葉は紡がれない。やっぱり、当たりだ。少し一緒にいただけだが分かった。彼は誰にも忘れられたくないのだ。母が自分を忘れなかったみたいに。
「私は忘れない。みどりのことも、らんちゅっぱのことも」
「あはー、分かってる? それって」
「逃げようか」
馬鹿だねと笑って二人ベッドに沈む。彼の体は冷えていた。まるでもうすぐ死ぬみたいだ。それは、なんとしても避けたい。まだまだ興味深いことばかりなのだから。紫色の髪を引っ張ると、痛い痛いと彼は困った顔で笑う。もう無理して笑う必要なんかないのに。
「地獄ってあるのかな」
「さあ? 私は神様を信じていないから」
「生まれ変わったら今度は」
母さんに愛されたいな。か細い声が部屋に響く。何も言い返すことはできない。私は、私じゃ駄目なのか。そんな考えに首を振った。何を考えているんだ、私。
「あの二人も地獄にいるんだろうな」
遮るように私は口を開いた。
「そっちが地獄に落ちないように、俺が神様に祈っててあげる」
「みどり、それは」
「俺がそうしたいだけ!」
零れていた涙は見なかったことにした。みどり、私も地獄に一緒に行くから。泣くな。冷たい体を抱き締めると、心臓の鼓動が聞こえた。
「ごめんなさい」
勝手に地獄について行こう。
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作者名:ぷりん | 作成日時:2020年11月11日 13時