虎の娘《５》 (ページ25)

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謙ちゃんが準備をしてくれた甲斐あって収録は一度も戸惑うことなく順調に終わった。

A 「謙ちゃん今日はありがとう！また時間が合ったらご飯行こ」

安井「もちろん！じゃあ気を付けてねバイバイ」

最後の最後まで謙ちゃんは優しく手を振ってくれて、それを見届けてそのまま私は事務所に戻った。

松田「あ、Aちゃんおかえり」

トラジャの楽屋に入ると目が合った元太がそう言ってくれたけどそれ以上は何も無い。

一応トラジャでも最年少だけどラブほど特別妹扱いはされないこの距離感が一番居心地が良かった。

中村「え、すっご何これ。バラエティにこんな力入れる？」

安心感でいっぱいになってみんなのことを眺めていると突然私のカバンから台本を出したうみがそんなことを言っている。

A 「ちょっと勝手に見ないで。謙ちゃんが準備してくれてたの」

宮近「謙ちゃんって…安井？」

七五三掛「あ～謙ちゃん？Aちゃんのこと大好きだったもんね、ここまでするかって感じだけど(笑)」

私が慌てて取り上げようとしてもさらっとかわされていつの間にか全員がしっかり台本を見ている。

川島「Love-tuneのAちゃん甘やかされてるな～とは思ってたけどここまでだとは思わなかった(笑)」

中村「これぐらい甘やかして欲しかった？」

吉澤「海人は今のままでも十分甘いよ」

さり気なくうみの言葉を断りながら静かに台本を回収する。

改めてトラジャのこの空気感に安心しつつその日の仕事は終わった。