虎の娘《５》 (ページ14)

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大学ページ14

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あの日から私は普通の学生と同じ時間に大学に行って、それが終わってから事務所に向かうようになった。

いわゆる学業優先ってやつ？

だからと言ってこのまま親の言うことを聞いて学業一筋にしてアイドルを辞めるつもりなんて一ミリも無い。

宮近は家族の愛を知っていて母を「いい人」だと受け入れられたから良かったけど、もしまた来た時に別の人が傷付けられても困るから早いうちに言うことを聞いておこうと思っただけ。

今は大学のお昼休憩の時間。

私は中学時代からの友達、さくらと食堂に来ている。

さくらはトラジャに上手く馴染めなかった時やうみと別れた時などメンバーには相談出来ないことをたくさん聞いてもらってきた大切な友達の一人。

さくら「最近のA好きで忙しくしてるって感じだったから急に大学来始めてびっくりした」

A 「いや、でもまあ勉強も好きだけどそれ以上にダンス着いていけてないのが怖すぎて無理」

さくら「親って大事だね」

A 「本当に。お父さんが居なくなるまでは幸せだったはずなんだけどな」

さくらは中学の入学式で隣の席になった時からすぐに意気投合して、基本的に隠していることは何もない。

私は全て話しているし、多分さくらも全部教えてくれている。

メンバーと同じぐらい大切で大好きな存在。

さくら「…旦那さんに裏切られて男と関わらせたくない気持ちは分かるけど、そこまでしてAを良い会社に勤めさせたい気持ちはちょっと分かんない」

スープを飲みながら小さく呟くように言う言葉に頷く。

A 「私だって小学校ぐらいまでは愛してくれてたの覚えてるし素直に言うこと聞きたいけど、だからってやりたいこと我慢して嫌なことしたくない」

さくら「今のグループさんに加入した時の病み方も凄かったけど、それ以上に入試のために休んでた時のA本気でヤバかったからね。手放しちゃダメだと思うよ、私は」

はっきり言ってくれるその言葉に頷いて食堂を出た。

そして午後もしっかり全コマ受けて大学から直接事務所に向かう。