虎の娘《３》 (ページ33)

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特別連載ページ33

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何故かこのタイミングで私個人の特別企画として今までの経歴などを連載して頂けることになって今日はその打ち合わせのために編集社の会議室みたいなところに来ている。

A 「…あ、ひかりちゃんじゃん」

読みにくそうな堅い資料をたくさん抱えて持ってきたスタッフさんの後ろから見覚えのある顔を見つけて少しだけ安心する。

彼女…山田ひかりちゃんは少し前にTravis Japanのダンスチャンネルのプロジェクトで一緒に活動した同い年の女の子。

確かあの時が入社一ヶ月足らずだから今でもまだ一年は経っていない。

それで特別連載の担当を任されるってやっぱり優秀な子なんだな、と改めて思う。

山田「お久しぶりです。もしかすると私Aちゃんの専属担当者かもしれないです」

A 「え、全然大歓迎だよ。何ならマネージャーさんでも良いぐらい」

山田「いやいやそれはさすがに…」

先輩の前だからなのか久しぶりだからなのか前よりも少し距離を感じるけど、そんなことをしている間にも周りの人たちは準備を始めていて私たちは急いで椅子に座る。

スタッフ「ではさっそく打ち合わせに入りたいと思います。今日は、軽く鈴木さんについて教えて頂ければ大丈夫なので堅くならずにリラックスしてお願いします」

正直私はひかりちゃんが居る時点でリラックスしてるし、その言葉はそのまま返したかったけどさすがにそんなことは出来ないから静かに頷く。

スタッフ「ではまずこの業界に入ったきっかけからお伺いしてもよろしいでしょうか」

そんなところから始まってアイドルになった時の周りの様子やほぼ覚えていない臨時加入時代の苦労などを話してTravis Japanの話題になったのは一時間ほど経ってからだった。

ちょうどその時にここまで質問してくれていた恐らくひかりちゃんの先輩にあたる方が別の仕事に呼ばれて、ここからはひかりちゃんが質問をしてくれることになった。

スタッフさんが部屋を出ていくとひかりちゃんが目の前の席に移動してくる。

山田「よろしくお願いします。慣れていないので手こずることもあるかも知れませんがすみません」

ひかりちゃんは他人行儀にそう言った。