虎の娘《３》 (ページ25)

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ここまで元太がまっすぐ想ってくれているとも思わなかったし、ここまで葛藤してくれているとも思わなかった。

松田「俺の幸せはAちゃんが幸せで居てくれることなの。…で、あわよくば別れてくれたら俺の手で幸せにしてあげよっかな～みたいな？？(笑)」

明るく笑ってそう言ってくれるけど、もう何も考えずに笑い返す気にはならなかった。

松田「…いやあのね、海人が付き合う直前まで俺がAちゃんのこと好きだってみんなに言っててみんなも俺の恋を応援しようみたいな雰囲気だったんだけど、海人が抜け駆けみたいな感じで奪っていっちゃって。だからみんな無駄に俺のこと心配してて変に気にしてくれてるんだよ」

何も言わない私を気にしてなのかひたすら喋り続ける元太。

その話を聞いてまた改めて申し訳なくなる。

松田「ちゃかもケイも俺のこと気にして『元太が諦めるぐらい幸せになってあげて』って言ってるみたいだけど、別にそんな俺のために頑張らなくていいよ。俺はもうちゃんと海人のこと認めてるし受け入れてるから。俺の中では整理ついてるから気にしないで本当に」

ひたすら明るく喋り続ける元太を見てこれ以上この空気を続けるのが嫌なんだと思った。

まちゅに相談しなかったのも多分心配されたくないのもあると思うけど、元太自身がしんみりした雰囲気になるのが苦手なんだと思う。

だからこんな笑って話せるような話題ではないこともずっと笑顔で話し続けている。

A 「…じゃあさ、もしうみと別れたら付き合ってよ」

松田「嫌だ。ちゃんと俺のこと好きになってから付き合って。てか別れちゃダメだよ」

A 「もしもの話じゃん」

松田「俺Aちゃんも好きだけど、海人のことも好きなんだからね。そんな軽々しく別れるとか言わないでよ」

怒ったようにそう言う元太を見て改めてTravis Japanのメンバーって本当に素敵だと思った。

ここまでボロボロに傷付いているのにそれでもメンバーの幸せを願ってくれるなんていい人にも程がある。

それからふたりで少しだけ事務所の近くを適当に歩いてそのまま駅前で解散した。