虎の娘《３》 (ページ24)

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おしゃれな雰囲気と目の前のおしゃれな人に圧倒されそうになりながら、何とかドリンクを飲んで馴染もうとする。

松田「…Aちゃんさ、松倉に聞いたんだよね俺のこと」

ずっとにこにこしていた元太が突然真面目なトーンになってそう言ってきて少しだけ緊張しながら頷く。

松田「…だよね、良かった。Aちゃんがシンプルに気付いちゃったのかと思って焦ってた(笑)ケイも嘘つけないもんな～」

何か真剣な話をされるのかと思って身構えていると、すぐにさっきまでのハイテンションな元太に戻って着いていけない。

松田「こんなの直接言ったら格好悪いかもしれないけど、まあバレちゃったから言うね。」

ハイテンションになったかと思えば今度は真剣にまっすぐ目を見てそう言ってくる。

松田「俺全然Aちゃんのこと諦めてないし海人が傷付けたりしてたら余裕で奪うつもり。付き合ってる間はちゃんと応援してるから密かに闘志も燃やしてるの許して欲しい(笑)」

さらっとそう言って笑って「海人もこれ知ってて付き合ってるからそう簡単には別れてくれないだろうけどね～」とか言っている。

まちゅはあんなに泣きそうになりながら元太の幸せを願ってたのに本人はあっさりし過ぎていて拍子抜けって言うのかな、なんか空回り感。

A 「…元太、私なんかのこと好きで居たら一生報われないかもしれないんだよ…？」

松田「それはそれで良いじゃん。だって俺Aちゃんのこと好きで居るのが楽しいんだもん。悪いけど俺海人と付き合ったぐらいで諦められる程度の気持ちじゃないんだよ」

A 「…じゃあ尚更私たちのこと見てるのツラくない？」

面倒臭い性格が発動しているのは分かっている。

でも、まちゅが言っていたように私も元太には幸せになって欲しい。

こんなはっきりしない奴にずっと片思いし続けるんじゃなくてちゃんといい人を見つけて欲しい。

松田「…ツラいよ、めっちゃツラい。けどAちゃん以上に好きになれる人が居ないんだもん、助けてよ(笑)」

初めて見る切ない笑顔をする元太に何も言えなかった。