虎の娘《３》 (ページ15)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:46,375 hit

. ページ15

・

うみの家に着いて如恵留と別れて緊張しながらドアを開けて入ると、いつもと変わらずゲームをしているうみが居た。

A 「…あの、うみ…」

中村「ん～？てか出ていくなら鍵ぐらい持っていってくれない？こう見えて鍵開けたままなの怖かったんだよ」

A 「あ、ごめん…」

何も言わず黙々とゲームをしているけど、やっぱり怖くて少しだけ距離をとって控えめにソファーの隣に座ると突然うみがゲーム機を置いて抱きしめてきた。

中村「泣いたんだよね、ごめんね。ケーキひとつであんな怒っちゃってせっかくのオフなのに傷付けちゃってごめん」

優しい声でしっかりと抱きしめながらそう言ってくれる。

いつもそうだ。何回も意味も分からずキレられるし八つ当たりされるし機嫌合わせるのに疲れたりすることもあるけど、そのあとは絶対に優しく包み込んでくれる。

だから離れられないしずっと好き。

中村「ケーキ買いに行こ」

そう言ってゲームの電源を切って手を差し出してくる。

その手を握って近くのコンビニまで歩いて行った。

A 「こんなちゃんと手繋いじゃってたらもう撮られたら弁解出来ないね」

中村「言ってる割に離そうとしてませんけどね、おねーさん」

そんなノリでコンビニまで向かっていると、いつかの宮近の「ウザいぐらいイチャイチャしてあげて」という言葉が頭に浮かんでくる。

あれが誰を考えての言葉だったのかは未だに分からないけど十分これウザいでしょ、なんて私が言っちゃダメか。

A 「…あ、そういえばうみ何で毎回炭酸いけるか聞いてくるの？」

ケーキを見に行くついでにお店全部をまわっている時、ジュースのところに来たタイミングでそう聞いてみる。

中村「え、別にあれいけるかの確認じゃなくて飲むかってことだったんだけど。炭酸以外の方がいい気分のときもあるでしょ？Aがコーラ好きなのは知ってる(笑)」

如恵留にノリで言った風の「炭酸飲めない彼女」の存在をさり気なく気にしていたからはっきりそう言ってくれて安心する。

それからは家に戻ってケーキを食べて、しばらくゆっくりして夜ごはんを食べてから解散した。