虎の娘《３》 (ページ14)

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今日はうみとオフが被っていたからうみの家に遊びに来ていた。

いつものようにゲームをしてお腹が空いたらふたりで大騒ぎしながらごはんを作っていつも通り平和で幸せだった。

それが崩れたのは本当にしょうもないこと。

うみが置いていたらしいケーキを食べちゃってそれでうみの機嫌が悪くなった。

マンガみたいな話じゃん？

でも機嫌が悪いうみって全然マンガみたいな可愛いものじゃなくてマジで怖いの。

分かりやすくテンションが下がって何も話してくれないうみと二人きりなのは居心地が悪くて無意識のうちにうみの家を出ていってしまっていた。

お金も何も持たずに出てきたからいつかはうみの家に戻らないといけない。

でも、今のうみが居る家に戻るのは怖くて適当にさまよっていると突然聞き覚えのある声が聞こえて振り返ると如恵留が居た。

さっきまでうみと緊迫した部屋に居たからなのか優しく微笑んでくれる如恵留を見ると泣きそうになって、慌てて顔を逸らして気が付くと如恵留の車の中に居た。

川島「…今日ロケでちゃかがね、どこで見つけたのかわかんないキノコ持ってきてちょっとだけ現場荒れちゃったんだよね(笑)」

私の家はこの辺じゃないし絶対歩き方もおかしかったし聞きたいことはたくさんあるはずなのに、私のことには触れないでそんな話をし始める如恵留。

ほんとに宮近のこと好きだね。

私の話をしないところは気を遣っているんだと思うけど、宮近の話は本当にしたいからしているんだと思う。

川島「ちゃかってしっかりしてるのに変なとこ抜けてるよね、そんなとこも可愛いけど」

A 「散々頼ってるけど守りたくなるよね宮近って」

川島「え、本当にそう！甘やかされて怒ってるとこも可愛いから怒らせたくなっちゃう」

如恵留の場合は本気で甘すぎると思うけど話している表情が幸せそうだから黙っておく。

A 「…なんか元気出た、ありがと」

川島「海人の家でいいよね」

なんの迷いもなく車をうみの家の方向に変える如恵留。

何かあるということだけでなくその原因がうみということまでバレているとは思わなかったけど、素直にその優しさに甘えることにする。