虎の娘《３》 (ページ13)

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ケーキページ13

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Kawashima side

ある日の仕事帰り、いつものように車で帰っていると駅とは逆の方向に歩いているAちゃんを見かけた。

たまにバスにするとも言っていたから、一瞬バス停に向かっているのかと思ったけどよく考えればAちゃんの家は事務所を中心に考えて俺とは逆方向。

そもそも普通に帰っていればこんなところに居るはずがないし今日はAちゃんはオフだった。

海人の家はこの辺りだけどAちゃんが向かっている方向ではない。

駅でもバス停でも海人の家でも大学でもない方向に向かって歩いているAちゃんを見ていると何となく心配になってきてそばに車を停めて話しかけることにした。

川島「…Aちゃん何やってるの？」

歩いている途中で何度か人違いの可能性も考えたけど、声をかけて振り返ったのは紛れもないAちゃんだった。

Aちゃんは俺の顔を見て一瞬安心したような顔をしたけどすぐに涙目になって、それを隠すように顔を逸らした。

何か分からないけど何かはあるっぽい。

川島「…どこか行こうとしてた？送るよ？」

もしかすると友達の家とかに向かっていたのかもしれないし、変に引き止めるとダメだと思ってそう話しかけると静かに首を振った。

とりあえず目的は無かったみたいだから俺の車のところまで帰ることにした。

川島「Aちゃんって炭酸いける？」

A 「…やめて、その質問うみがいつもしてくるやつだからやめて」

気遣いのつもりで言うとすごい勢いで拒否してくる。

海人の家の近くでさまよっていた時点で察していたけど、海人と何かあったみたいだった。

A 「…毎回『いけるよ』って何ならおかわりもしてるのに一生聞いてくるの。本当に炭酸飲めない彼女でも居んのかって(笑)」

涙目で笑いながらそう言うAちゃんに何も出来ない自分が嫌だった。

こういう時ちゃかならどうするんだろう。

最年長として最年少のAちゃんのことは守らないといけないと思っていたけど、やっぱり元指導係兼リーダーのちゃかには適わない。

情けないけどこの時心の底からちゃかに助けて欲しいと思った。