虎の娘《３》 (ページ2)

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一応否定はしてもさすがうみと言うべきか思っていたことはなんとなく察してくれて、ゲーム機を置いて抱きしめてくれた。

中村「…ごめんね、俺家でゲームしかしないからやることこれぐらいしかわかんなくて」

寂しかったけどたった一回抱きしめられるだけでこんなに心まで温かくなれるのやっぱりうみって天才だと思う、なんて。

中村「…これしか分かんないは嘘だけどAのことは大事にしたいし、」

A 「ん？」

まだ抱きしめられているから耳は近いはずなのに聞き取れなくて聞き返すと「なんでもない」と言われて、また強く抱きしめられた。

中村「男の子の家行ったことないんだもんね、まだ早いよね(笑)」

A 「…バカにしてる！？」

思わずうみを突き放してそう言ってしまう。

中村「ん～ちょっと？(笑)」

でもうみは変わらず笑顔で控えめにキスをしてきた。

A 「…慣れてるね、」

幸せだったムードは私のその一言で少しだけ張り付いてしまう。

こんな面倒臭い性格、早く直したい。

でも仕方ないじゃん。

私は家に入るだけで緊張してるのに、うみは「ごめんね」って言って余裕な顔して抱きしめてきてキスも出来てそんなことどれだけの女の子としてきたんだろうって思ったら沈んじゃう。

中村「…俺にはAだけだよ」

A 「分かってる。ごめん」

高校の時からずっとうみに近付きたい人が居るぐらいモテてきたんだもん、慣れてない方が怖いよね。

これ以上うみを困らせたくなくて平気なフリして笑うけど、何も効果は無かった。

中村「…付き合ってきた人はいっぱい居るけど、俺の家に呼んだのはAが初めてだよ。それぐらいAのことは大事だと思ってるし特別」

今度は抱きしめたりしないでまっすぐ目を見てそう言ってくれる。

その目に嘘は見えなかった。

A 「変なこと言ってごめん」

中村「いいよ、Aのわがままならいくらでも聞く。そもそも俺お前にどれだけ迷惑かけられてきたと思ってんの、今さらだよ(笑)」

いつもの調子でそう言ってうみは空になった2つのコップを片付けた。