虎の娘《２》 (ページ46)

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次の打ち合わせからはひかりちゃんの先輩だという方と一緒に振り写しをした。

山田「やっぱりTravis Japanさんって違いますね、二回目から形になってる」

A 「さすがにそれは嘘だ(笑)」

打ち合わせを重ねる度にひかりちゃんとは距離も縮まって撮影本番の日にはタメで話せるほどになっていた。

山田「やっぱりこういうのって緊張する？」

A 「そりゃね、仮にもダンスで売ってるわけだから変なもの出せない」

山田「そのAちゃんのプロ意識尊敬する」

純粋な目でそう言ってくれるひかりちゃんを見て、ファンの方を騙してメンバー内恋愛をしている奴がプロ意識高いなんて言えるのかと少しだけ後ろめたい気持ちになる。

だからと言ってうみとの関係を断てるとは思わない。

それはあの一件以降より強く感じている。

そして三人で振り付けをした部分を踊り終わってソロショットも撮ってこのユニットでの撮影は終わった。

いつかの打ち合わせで同い年だと分かったひかりちゃんとは連絡先も交換している。

「また連絡するね」と言って別れて楽屋に戻る。

A 「…え、うみじゃん！！」

楽屋に戻った瞬間長い間何も無かった空間にしっかりとうみの荷物とうみが居るのを見た。

ついさっきプロ意識がどうとか考えていたことなんて完璧に忘れてうみの元に駆け寄る。

中村「やめてよ、俺別に死んでないから(笑)」

A 「なんで？時間ズラされてたんじゃないの？」

うみの言葉を完璧に無視して思っていることをそのまま言う。

中村「なんかくらとしめがA暗いとやりづらいからって言ったんだって。お前事務所で会えないぐらいで周りが分かるほど沈むなよ」

そう言いながらもうみも嬉しいのが隠し切れていない。

さすがにうみには言えないけど実際そこまで暗くなっていたことはない。

初めての打ち合わせに行く前、少し話せただけで喜んでいた私に気を遣ってくれたんだと思った。

改めてプロ意識も大切にしないといけないけど、ここまで色々なことに気を遣ってくれるメンバーの為にも一生うみのことを大切にしたいと思った。