虎の娘《２》 (ページ45)

今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:68,696 hit

. ページ45

・

まともな経験も無いままいきなり本番だと言われてステージに立たされた結果出来なくて顔も知らない人から信じられないぐらい批判されて、その時は本当に味方なんて居ないと思ったし全員が怖かった。

でも、がむしゃらに頑張っているうちにうみが困った時は助けてくれるようになった。

宮近は助けを求めれば助けてくれたけど、宮近から来てくれることは松松の加入までほぼ無かった。

そのおかげで何でも頼ればいいというものでは無いということも学べたし、見てくれている人は見てくれているということも学べた。

ひかりちゃんをあの時の私に重ねるなら私は誰の立場になるべき？

松倉「ね、大野くんの『曇りのち、快晴』どうかなって話してるんだけどどう思う？」

そもそもこのユニット以外で関わることは無いかもしれないのに、変にひかりちゃんを育てようと考えているとまちゅがそう話しかけてきた。

A 「…それ、ひかりちゃんが出したの？」

まちゅに聞く口調でひかりちゃんを見ると目が合ったひかりちゃんが頷く。

すごい、私のイメージとドンピシャ。

本当にこれで入社一ヶ月未満なら将来有望すぎる。

私の専属マネージャーになって欲しいぐらい、なんて今のマネージャーさんに失礼か。

A 「テンポ取りやすいし明るいし私たちっぽいしいいと思う」

知らない間にしめちゃんも賛成していたみたいで、私のその言葉で曲が決定した。

山田「ではこちらの曲で進めさせて頂いてまた後日振り付けの共有に参ります。本日はありがとうございました」

そう言ってひかりちゃんが深々と礼をして会議室を出ていってその日の打ち合わせは終わった。

七五三掛「…あの子、昔のAちゃんに似てる」

ひかりちゃんが出ていった途端そう言うしめちゃん。

A 「私も、ちょっと思ってた」

七五三掛「しっかりしてて優秀なんだけど変に自信ないせいで上手くいってない感じめっちゃAちゃん。めっちゃムカつく」

さらっと言うしめちゃんを咄嗟に止めるけどしめちゃんの嫌いなタイプだというのはなんとなく察していた。

力はあるくせにやろうとしない子しめちゃん嫌いだから。

自分で限界決めてる子嫌いだから