虎の娘 《２》

スキャンダル ページ36

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ある日いつものように楽屋で思い思いに過ごしていると、突然ひとりの男性が私たちの楽屋に来た。









私は誰だか分からなかったけど、みんな少し焦ったような顔をしていた。









その男性に何故か私とうみが呼ばれて着いていく。









A 「…何だろうね、」









ずっと俯いているうみを不思議に思いながらも沈黙が続くのはしんどくて思わずそう言った。









中村 「…傷付けると思うけど、俺のこと信じて欲しい」









突然目が合ったと思うとそんな意味の分からないことを言い出すうみ。









聞き返そうとしたけどちょうど部屋に着いたみたいで何も言えなかった。









男 「単刀直入にお伺いしますが中村さんはこちらの写真に見覚えはありますか？」









そう言って男の人が出したのはうみと知らない女性が一緒に歩いている写真。









近くにふたり以外は居なくて意図的に近くに居るみたいだった。









その手はしっかり繋がれている。









思わずうみの方を見ると不自然に目を逸らされた。









A 「…なんですか、これ」









男 「明日未明に発売になる週刊誌の一部です。一応事実確認だけさせて頂いております」









言葉遣いは丁寧だけど、不良に絡まれた時ぐらい衝撃が強くて一言も理解出来なかった。









不良に絡まれたことなんかないけど。









A 「私は…なんで？」









これはどう考えてもうみのスキャンダル。









私に関係ないことはないけど、この人からすれば関係ないはず。









男 「実は鈴木さんとの写真もあると言われておりまして、こちらも念の為事実確認です」









中村 「こいつは関係ないです。メンバーとして遊びに行っただけです」









何も分からないまま戸惑っていると強い勢いでそう言ったうみ。









中村 「こいつは本当にずっとアイドル一筋でやってるんで巻き込まないでください」









この人がやっているのは紛れもない浮気。









でもこの期に及んでこうして守ってくれるうみにときめいてしまう。









私に何も無いと分かると完璧に出ていけという雰囲気を醸し出してくる男の人。









何となく腹が立ったからさり気なくその写真を持って部屋を出た。

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