虎の娘《２》 (ページ29)

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うみは余裕そうな顔をしていて元太が明らかに怒っている。

今すぐ間に入りたかったけど宮近に目で止められて何も出来ない。

松田「なんでAちゃんのこと大事にしないの」

中村「別に雑にもしてないけど」

松田「でも推しじゃないんでしょ？」

中村「推しではないね」

ここまで元太が怒っているところも見たことがないしうみが怒っている人のことを煽っているところも見たことがなかった。

なんとなく怖くてその場を離れようとするとYouTubeの撮影の時間になった。

撮影の間は何も無かったかのようにみんな笑っていたし楽しそうだった。

でも終わって楽屋に戻ってきた途端またピリピリした。

中村「ね〜もうほんとそういうの面倒臭いって」

松田「もう俺奪っちゃうよ？いいの？」

中村「こいつそんな軽い奴じゃないから無理だよ」

声を荒らげている訳では無いけど明らかに怖くてどうすれば良いのか迷っているとまちゅとしめちゃんが近くに呼んでくれた。

松倉「A撮影最後だよね？時間あるしどっか行く？」

七五三掛「とりあえず楽屋出よ」

ふたりが如恵留たちに目で合図をしてそのまま楽屋を出てくる。

七五三掛「ふたりともそういう好きじゃないってずっと言ってたのに怖すぎない？(笑)」

松倉「海人の抜け駆け感は否めないけどあんな怒ると思ってなかった(笑)」

楽屋を出てきた瞬間内容はよく分からないけどいつもの調子でふにゃふにゃと笑うふたり。

加入当初のようにグループ全体で雰囲気が悪くなっているわけでは無さそうだった。

七五三掛「海人がAちゃんを推しって言えばいい話なのにね」

どこに行くわけでもなくとりあえず近くの自販機でジュースを買ってベンチに座って雑談をする。

A 「私たちそんなデレデレって感じじゃないじゃん。あの距離感が好きなところもあるからそれだけは保とうねって話してたんだよね」

松倉「いやでもあれはAって言うとこだった」

A 「うみにデレられても怖いだけなんだけどね」

別にうみの肩を持つつもりはない。

でも、私は本当に何も思わなかったからこれ以上うみを悪く言って欲しくなかった