虎の娘《２》 (ページ12)

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さすがにこれ以上この雰囲気を続けるのはしんどくてネタばらしをすることにした。

A 「…あの、嘘、です」

中村「…は？」

A 「彼氏なんて出来てないし飲み会もあのみんなが過保護だった日以来行ってないです。てかそもそも高校女子校でした」

俯いて静かにそう言い終わると突然元太に抱きしめられた。

松田「マジでほんとダメ、そういうの。俺らがどれだけAちゃんのこと大事にしてるのか自覚して。そんな適当な男に任せられないって本気で思っちゃったじゃん…」

元太に真面目なトーンで注意されるのは初めてな気がするから素直に申し訳ないと思った。

A 「…ごめん」

松田「良いんだよ、全然好きな人と幸せになってくれたらそれでいい。けどちゃんとした人のこと好きになって」

そう言う元太は私のことを妹さんと重ねているのか、いつもの末っ子な感じじゃなくて圧倒的に年上な兄貴感があった。

中村「でもA本当に鈍感だしバカだもんな、俺が一生助けて守ってやっても良いけど」

A 「…何それ、うみそんなキャラだっけ？」

元太から離れてうみと目が合うとそう言われて思わず言い返してしまう。

中村「もうそんな気は無かったけどやっぱりお前怖いわほんとに」

ずっと何言ってるのかよく分かんないけど、そんなことをしていると宮近が戻ってきた。

A 「あ、宮近あのこれ全部嘘で…」

宮近「あ〜彼氏出来たって話？知ってるよAに出来るわけないもん(笑)」

宮近は笑ってそう言っているけど、怒っている時の目はガチだったし普通に怖かった。

宮近「いや付き合ってなくてもAがそんな奴と絡んでるって思ったらなんか腹立っちゃって(笑)廊下でジュース飲んでる時にAが女子校なの思い出してそもそもそんな知り合い居ないじゃんってなって帰ってきた」

さすが宮近というべきか私の嘘も本当も全てお見通しでネタばらしも何もすることがなかった。

松田「もうマジでAちゃん許さない。俺と文春で撮られるまで一緒に遊ぶから」

川島「何それかわい(笑)」

さっきとは一変して拗ねた子供のような元太に言われて思わず頷いた。