虎の娘 (ページ40)

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全員が食べ終わって店を出る頃にはいい時間になってきていたから少しずつ会場を目指すことにした。

松田「この時間もうファンの方とか居るんじゃない？」

宮近「先輩のファンだから絶対要らないことするなよ」

もし知っている人が居たら声でバレるんじゃないかというぐらい大声で話しながら裏口から入る。

そして軽く先輩に挨拶と差し入れをしてから客席の方に入った。

A 「このライブが始まる直前の緊張感好き。出る人も見る人も全員この日のために頑張ってきたんだって思ったらみんなまとめて褒めてあげたくなる」

宮近「何目線なのそれ」

そんなことを話しているうちに開始時間になって会場全体が盛り上がり始めた。

始まってからは本当にあっという間で気が付くともうアンコールだった。

シンプルにダンス、歌もそうだけど雰囲気の盛り上げ方とかファンサとか全部違って学ぶところがたくさんあってもっと研究していかないといけないと思った。

それは三人も同じみたいで帰りの新幹線はみんな余韻に浸って静かに落ち着いていた。

松田「…ヤバかったね、本当に」

A 「一回しか見れないのが悔しいもん」

松倉「分かるもう毎日でも見に行きたい」

特に宮近はライブ中も今もずっとメモをしていて考えなくても感動して色んな刺激を受けたことが分かる。

松田「でもさ、俺らにも出来るよね」

松倉「当たり前じゃん。せっかく招待してもらって見学したのに自分のものに出来なかったら意味無いでしょ」

宮近「本当に頑張ろ」

そうやって言う三人の目は本当に行きの新幹線でうざいぐらいうるさかった人たちなのかと疑うぐらい真剣で私の好きなTravis Japanの表情だった。

松田「あ～でももうちょっと観光もしたかったな」

東京に戻ってきた途端そう言う元太。

宮近「わがまま言うなよ(笑)」

A 「特急券なら買ってきてあげるけど帰る？」

松田「やだ！ごめん！一緒に事務所帰らせて！！」

軽くいじると慌てて私たちにしがみついてくる。

前だけを見ていてひたすら努力家でアーティストなTravis Japanも好きだけど、こんな騒がしいTravis Japanも好きだと笑いあっているみんなを見ながら思った。