虎の娘 (ページ38)

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撮影が始まる直前にはスタッフさんにもたくさん褒めて頂けて嬉しくてずっとハイテンションなのが自分でも分かった。

川島「その髪型絶対ファンの人も見たいと思うからISLAND TV撮らない？」

全ての仕事が終わって楽屋に戻ってきた時、突然如恵留が私にそう話しかけてきた。

川島「Aちゃん全然ISLAND TV撮らないからこういうの残しといた方がいいよ」

A 「如恵留ホームビデオか何かと勘違いしてない？」

でも機会が無いと撮らないのは事実だし、ソロのものはほぼ無いに等しいから大人しく撮ることにした。

A 「えっとこんにちは〜。今日は高校生ぶりに自分でヘアセットをしてきました。いっぱい褒めてもらえて嬉しかったです。…以上です」

川島「おすすめポイントは？」

A 「おすすめポイント！？…えっと、この編み込み…です」

川島「かかった時間」

A 「久々だったから一時間ぐらいかかっちゃったけど普通は30分ぐらいあれば出来ます。多分ファンの方なら秒で出来ますこれ」

川島「…可愛いね」

A 「あ、ありがとうございます(笑)」

そんな感じで緩く撮り終わって自分の荷物を置いているところに行く。

中村「今からデート？」

A 「だから彼氏居ないって」

もうこのくだりを楽しんでいるのかそう答えるだけで満足そうなうみ。

笑ってるだけなら弟っぽくて可愛いのにいちいち腹立つこと言ってくるの絶対もったいないと思う。

まあうみが素直で何も言ってこなかったらそれはそれで気持ち悪いけど。

松田「Aちゃん性格悪いわけでもないのになんで彼氏できないんだろうね」

ずっとニコニコしているうみを軽く流していると突然後ろに居た元太がそう言ってきた。

A 「まって元太までいじってこないでよ」

松田「彼氏居たら俺たちやりにくいから一生つくらなくていいよ」

はっきりとそう言われて何も言い返せなくなる。

仮に出来たとしても持ち込む予定は無いし変わらず接するつもりだったけど、確かに周りからすると気まずいものなのかな。

松田「あと俺たち以外の男のためにそんなお洒落するとかやだ」

最後にぼそっと呟いた元太の言葉ははっきりとは聞こえなかった。