虎の娘 (ページ31)

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私がつい聞き返してしまってから宮近との間に何となく気まずい空気が流れた。

宮近「…言いたいことはいっぱいあるけど、ひとつだけ言わせてもらうとその相談俺じゃなくて海人だったんだ」

長い沈黙を破ったのは小さな声でポツリと呟いた宮近の声だった。

A 「私本当に誰にも相談する気無くて」

宮近「メンバーになるのかなって時に言ったよね？なんかあったら俺に相談しろって」

A 「え、宮近嫉妬？」

宮近「そういうノリじゃない」

なるべく暗くなりたくなくて必死に明るく話したけど、ピシャリと宮近に言い切られて何も言えなくなる。

A 「私みんなが思ってるほど弱くないよ」

宮近「…そっか」

それからまたふたりの間に沈黙が流れる。

宮近とこんなに気まずいの受験の時以来かも。
やっぱり興味本位でエゴサなんかしなきゃ良かった。

そんな雰囲気のまま私の家に着いてしまった。

A 「…あ、私ここだから」

宮近「あ、そっかおつかれ～」

A 「お疲れ様また明日！」

そう言って手を振って宮近は来た道を戻って行った。

もし電車でひとりだったら絶対また泣いてたと思うから宮近に残るように言ってくれたうみにも感謝したいと思って連絡した。

Aうみ今日はありがとう

中村全然!マジで隠すの下手すぎてビビった

A宮近にも残るように言ってくれてありがとう

中村え、言ってないよ俺
中村ちゃか気付いてたの?

普段からレスは早いけど今日は特に早く返ってきた気がした。

中村しかも俺の名前出したってことは全部気付いてるじゃん
中村やっぱちゃかすげえ

独り言まで全て送ってくるタイプのうみ。

この様子からして誤魔化している訳ではなく本当に何も言っていないんだと思った。

だとすると誰に言われたわけでもなく自分で心配して残って声をかけてくれたのに、適当に流そうとしてしまって申し訳ない。

宮近はまだ帰っている途中だと思ったからひとつだけお礼の連絡をしてそのまま寝た。

次の日ふたりともどこか心配している雰囲気はあったけど特に追及してくることもなく平和に終わった。