虎の娘

エゴサ ページ29

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YouTube撮影の休憩中、何を考えたのか分からないけどいつもはしないのに無意識のうちに自分の名前を検索していた。









もちろん応援の声もたくさんあった。









でもそれと同じぐらい私のことを良く思っていない人もたくさん居て、大学でもグループでも家でも甘やかされて大切にされてきた私にとってはその何気ない棘ですら辛かった。









あと10分以内で気分持ち直さなきゃいけないのになんでこんなことしちゃったんだろ、なんて後悔している割には検索結果を見る手は止まらなかった。









そして撮影開始の5分前、これだけ見て終わろうと思った時一番衝撃的な言葉を見てしまった。









『事務所にもグループにも女は居ない方がバランスが良い』









ずっと居て良いのか自信は持てなくて、必死にしがみついてみんなの実力に着いていっているつもりだった。









「目障り」でも「実力不足」でもなく「バランスが悪い」なんてそんなのどう努力したって直せない。









ショックを受けている間にもみんなはどんどん集まっていてその様子を見る。









確かに7人だけなら宮近のセンターも映えるしバランスは良いのかもしれない。









宮近 「A？撮るよ？」









私の居ないTravis Japanを想像していると不意に宮近に呼ばれた。









A 「…あ、ごめん」









精一杯の笑顔を作ってさっきまでの言葉は気にしないことにしてみんなのところに走っていく。









YouTubeを撮影している間は純粋に楽しくて心無い言葉なんか忘れていた。









でも楽屋に戻ってスマホを見た瞬間思い出して怖くなって咄嗟にスマホを鞄の中に入れた。









中村 「…なんかお前大丈夫？」









いつもと同じようにスマホをいじっているうみがさり気なくそう声をかけてくれる。









A 「大丈夫、ごめん」









中村 「…そんな勢いよく入れたらスマホ割れるよ」









A 「そんな強かった？(笑)」









いつもの調子でバカにされているのかと思ったけど、目が合った時のうみの目は心配の方が強かった。









中村 「普通に怖いんだけど何？彼氏とでも別れた？」









A 「んー、そんな感じ(笑)」









わざわざ相談することでもないし気にしなければいい話だからその場では適当に誤魔化して流した。

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