虎の娘 (ページ25)

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とりあえずリビングにあるソファに横並びに座って適当にテレビを見ることにした。

中村「なんか直接言ったらみんなに怒られそうだけどまあいっか。Aガチで今日自分が体調悪いの気付いてなかったの？」

A 「…え？」

中村「まあちゃかも初めはふざけてると思ってたらしいけど、練習の時からずっとフラフラしてるし通しの時も安定しないし続けてていいのか不安になるぐらい倒れそうだったけど」

A 「うそ、そんなだった？」

今日のレッスンを思い返してみても、調子が悪いのは分かっていたけど体調のせいだとは思わなかった。

中村「割と本気でこっちが怖かった」

A 「…え、ごめん」

中村「なのに楽屋戻っても練習しようとするしヤバいよお前。取り憑かれてる」

言い方は酷いけど言いたいことは分かる。

だからみんなあんなに過保護だったんだ、明日謝らないと。

中村「ちょっと体調戻ってきたみたいだけど今日は絶対寝ろよ。明日ミスっても誰も責めないから」

A 「うん、ありがとう」

中村「俺に素直なの嫌なんだけど(笑)」

それから適当に番組を見たりゲームをしたりしているうちに日付が変わる時間になった。

中村「やべ、こんな時間まで起こしてたら怒られるかな」

A 「良いよ、10時に寝たってことにしよ」

中村「お願いだから俺帰ったらすぐ寝てね、俺のせいになっちゃう」

A 「私がやりたいって言ったんだからいいよ」

中村「いや本当は家着いたらすぐ寝かせろって言われてたんだよ」

何かにずっと怯えているうみ。

ここまで付き合ってくれただけ有難いし、いざとなれば私が適当に誤魔化すのに正直だね。

中村「じゃあ俺そろそろ帰るね、絶対寝てよ」

A 「うん、ありがとう。じゃあまた明日」

そう言って玄関前で手を振り合う。

次の日のリハーサルは体調も完璧に戻って予習の甲斐もあってほぼノーミスで終わった。

宮近「すごい完全復活じゃん」

A 「本当に昨日は心配かけてすみませんでした」

リハ終わり楽屋に戻ってすぐそう言うと、みんな笑って許してくれた。