虎の娘 (ページ24)

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そしてなぜかうみも着いてきて如恵留の車に乗って私の家に帰る。

いつもならみんなツッコむのに今日は「まあ海人だもんな」みたいな不思議な空気で理解が追いつかない。

川島「ここだよね？じゃあうみんちゅ後は頼んだ」

中村「はーい」

そう言って当たり前のような顔をして私と一緒に家に入るうみ。

A 「なんでそんな当然みたいな顔してるの」

中村「…あ、ちょっと元気になってきた？」

A 「え、？」

いつもの調子で「うるさい」とでも言われると思ったのに、優しい顔で嬉しそうに言われると調子狂う。

中村「お前さ、昨日寝てないっしょ」

A 「なんで？」

遠慮もしないで人の家の椅子に堂々と座っているうみが机の上に散乱している大量の資料を見ながら言う。

中村「これ今日のレッスンのやつでしょ」

そうだ、昨日の夜絶対失敗出来ないと思ってご飯も食べないで必死に詰め込んだんだ。

その結果クーラーガンガンの部屋で寝落ちしちゃって喉は痛いし結局上手くいかなかったし散々だったけど。

中村「まあ毎日違うグループ入ってたんだもんな、周りにも頼れないしそりゃそうなるか」

書き込みだけは人一倍ある私の資料を見ながら小さく呟いているうみ。

中村「けど今はAリーダーでも無いし最年少だし宮近も俺らも居るし、頼っていいよほんとに。全責任がお前にいくとか絶対無いからこんな思い詰めんな」

誰よりも私に対してはっきりと言いたいこと言ってくるうみが私の目を見てそう言ってくれたことが本当に嬉しくて、思わず泣きそうになった。

中村「…あ、堅い話すんなって言われてたの忘れてた。とりあえず寝る？寝室どこ？」

さっきまで真面目な顔してたくせに急にいつもの遠慮がないうみに戻って平気で部屋を歩き回る。

A 「…ありがと」

小さい声でそう言うとうみが優しく笑ってくれた。

こんなこと言葉に出すとまた毒づかれそうだから言わないけど、今日のうみ優しいね。

中村「あ、あった。はいどーぞ」

A 「良いよ、もうちょっと話そ」

中村「え、寝ないの？」

A 「さっき十分寝たから」

それもあるし何となく今日はもう少しうみと話したかった。