虎の娘 (ページ18)

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松倉「Aも酒豪なのかな」

中村「俺はピーチウーロンだったからだと思うよ」

元太と宮近が飲んでいるのを眺めていると横からそんな会話が聞こえてくる。

違う、お酒が飲みたいんじゃない。

ただ私だけが子供みたいな「年下だから、初めてだからやめておこう」みたいな雰囲気が嫌なだけ。

最年少だけど子供扱いは嫌だってわがまま？

松田「…一口飲む？」

ずっと見ていると視線に気付いた元太がグラスを差し出してくる。

A 「これ何？」

松田「生。一口飲んだら水一杯って約束してね、何なら二杯でも良いぐらいなんだけど」

元太が私の前にグラスを置くとみんなの空気が少し張り付いた気がした。

松田「…そんなに見るのやめない？」

枝豆を食べながら軽くそう言う元太。

松倉「A今日デビューだって分かってる？」

松田「Aちゃんが飲みたいって顔してたんだよ」

中村「元太酔ってる？」

松田「酔ってない」

酔ってないことはないと思うけど、私は元太の言い分の方が嬉しかった。

でもさっきのしめちゃんと宮近の言葉が引っかかってなかなか勇気が出ない。

宮近「倒れちゃったら俺が運ぶからいいよ、飲みたいなら飲みな？」

戸惑っている私を見て宮近がそう言ってくれる。

その言葉に安心してさっきと同じ勢いで飲んでしまった。

松田「え、ちょバカ」

みんなが焦っていることに申し訳ないと思う余裕もないぐらいビールの勢いと独特の味に動揺して咳が止まらなかった。

中村「何やってんのマジで」

松田「そんな勢いよくいくと思わないじゃん、ね早く水飲んで」

川島「なんかお酒デビューって感じだね」

七五三掛「なんで如恵留はそんな楽しそうなの」

吉澤「初々しい可愛い」

大慌ての私たちに対して少し離れたところで平和な年上組。

それからみんなで少しだけおつまみを食べて帰る準備をした。

宮近「元太が思ってたより大人だった」

松倉「けど煽られたら飲ませちゃうからやっぱり来て良かったよ」

松田「だから俺潰す趣味ないって」

お酒のせいなのかいつもより騒がしいみんなを横目に家に帰った