虎の娘 (ページ17)

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松田「じゃあさっそくAちゃん飲む？」

いつの間にか元太のビールも届いたみたいで一緒に一口目を飲んでくれた。

松田「…苦い？」

A 「いや…甘い？」

中村「ピーチウーロンだからね」

大学の同級生はみんな初めてのお酒は苦いと言っていたから身構えていたけどそこまででも無かった。

松田「飲みやすいかもしれないけど水は飲まなきゃダメだよ、お酒だからね」

そう言ってさっき飲んだお酒の量以上の水を入れてくれる元太。

松田「これ全部飲んで」

A 「私こんなに飲んでな…」

松田「いいから飲んで」

さっきまではバカみたいにお酒を飲ませようとしてたくせに真面目な顔をして水を差し出してくる元太。

松田「本気で潰そうとしてるわけないじゃんメンバーなのに」

吉澤「いや元太ならしかねない」

松田「俺お酒初めての子潰す趣味ない」

分かるような分からないような会話をしているふたりを見ていると隣に宮近が来た。

宮近「大丈夫？まだ気持ち悪くない？」

A 「うん、なんか全然いくらでも飲めそう」

宮近「…でも初めてだから今日は一杯にしとこ」

思っていた以上に余裕でメニューを見ていると静かに宮近に取り上げられた。

A 「なんか今日みんな過保護だね」

宮近「お酒ってほんと怖いんだよ。誰もAの前で酔ったことないから分かんないかもしれないけど」

さっきのしめちゃんと全く同じことを言う宮近。

そんなに何度も言われると本当に怖くなってくる。

松田「じゃあ俺二杯目頼んでいいですか」

A 「…あ、じゃあ一緒に焼き鳥頼んでいい？」

松田「Aちゃんお酒以上に食べるじゃん(笑)」

A 「…飲んだ方がいい？」

松田「ダメ」

正直今の元太ならノリで良いって言ってくれると思ったのに即答で断られて少しだけショックだった。

松田「ね～何へこんでるの、まだ残ってるじゃん」

A 「だってみんないっぱい飲んでるのに…」

松田「とりあえず一杯飲み終わってから考えよ？ね？」

そうやって優しく頭を撫でられるのも突然2歳差の現実を突きつけられたみたいで嫌だった。