虎の娘 (ページ15)

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カフェに着いて初めはさっきのロケのこととかメンバーの面白かったこととかたわいもないことを話していたけど、自然と話題は加入当初のことになった。

七五三掛「Aちゃんって加入日いつなの？」

A 「いつなんだろうね、はっきりした日は分かんない」

七五三掛「Aちゃんどう見ても推されてたのにそういうとこは雑なんだ」

正確に言えば推されてた訳じゃなくてとりあえず知名度を上げて女性タレントのインパクトを強めようってだけだったんだけど、わざわざ訂正するほどでもないから軽く流す。

七五三掛「あの時冷たかったの正直Aちゃんが事務所からもスタッフさんからも気に入られてるの俺たちも分かってたから、ぐちゃぐちゃだった俺らのところに来るべきじゃないっていうのもあったんだよね」

A 「…え、」

七五三掛「色んなグループに入ってたけどAちゃんは臨時メンバーじゃ勿体無いって、絶対いつかソロデビューするって思ってた」

そんな話、宮近からも閑也からも聞いたことない。

七五三掛「まあだから嫉妬だよね。崩壊寸前の俺らのところに完璧なAちゃんを入れるってどう考えてもAちゃん頼みってことじゃん、純粋に悔しかった」

俯いたまま本当に申し訳なさそうな顔をしてそう言うしめちゃん。

七五三掛「それもあったしAちゃんは加入って言われてたわけでもなかったからどう接すればいいのか分かんなくて…」

A 「…もう終わった話だし、今はちゃんと楽しいしそんな暗い顔しないで」

これ以上沈んでいるしめちゃんを見たくなくて咄嗟にそう言った。

七五三掛「あんな態度とってたくせに言えないけど、俺はAちゃんが加入してきてくれて一緒に活動してくれて本当に嬉しい。ありがとう」

それが言いたかったのか言い終わるとスッキリしたような顔をしているしめちゃん。

A 「こちらこそ、受け入れてくれてありがとう」

私がそう言うと目が合って優しく微笑んでくれた。

七五三掛「やっぱり俺たちグループで一番仲良いよね？」

A 「だね」

その日のグループはしめちゃんによる私とのプリクラ自慢で終始荒れていた。