余命宣告はハッキング出来ますか 2【降谷零/安室透】

90 ページ40

安「なるほど、そういう事だったんですね！おめでとうございます！」





ちょっとした忘年会、それは妃先生の"勝訴"のお祝いだった

ポアロの常連や緑さんまで、そこまで仲良くはない顔見知りがラーメン屋に集って





妃「ありがとうございます。こんな大事にする程じゃないんですけどね」





つままれていくタッパーに詰めたおかずの数々


.......それを見て何故だかまた嫌な感情

本来別の人間の胃に入る事を想定して作られた物
ここは祝いの席だから笑わないわけにもいかない

......今頃、質素で冷えた弁当を夕食として食べているかな


焦らずゆっくり考えればいいって.......
何をどう考えればいい？





緑「でもこんなにたくさん！よく作りましたね！」

小「どれもこれもスーパーの惣菜より旨いな！」

安「ありがとうございます。僕一人じゃとても食べ切れないので、是非平らげちゃってください」

妃「お一人なのにこんなに作られたって事は、もしかして安売りで食材を買い過ぎたりしちゃったのかしら？私もたまにあるのよ！安いからってあれもこれも買って気付いたら消費期限切れてて」

安「ま、まぁ.......そんなところです」





頭が全く回らない

後から出るかもしれないと言われた後遺症が発現してないか
移植した肺が突然上手く機能しなくなってないか
最低限の設備しかない留置所で退屈で寂しい思いをしているんじゃないか

......っ、そうだ！





安「ごめんなさい！クライアントと今夜約束があったのを忘れていました！」

梓「え？」

安「容器は明日ポアロで渡してくれればいいですから、お先に失礼します！」





そうやって急いで向かったのは、たった数日前まであの子が入院していた病院







・




.......だが、




・







『お！本当に会いに来てくれたー！』

降「どうだった？初日は。窮屈だっただろ？」

『ううん、結構楽しかったよ！部屋も充分広いし、ちゃんとお布団もあるし！お弁当も全然美味しかった！』

降「......そうか......」





スピーカーとガラスを隔てた向こうの様子は予想していたのと全くな逆の現実に変にショックを受けて、
昨夜病院にわざわざ取りに行ったイルカのぬいぐるみを足元に隠したまま


渡せなかった





『で今日の差し入れは！持って来てくれた！？』

降「.......あぁ、忘れた」

『ええ！？約束したじゃーん、お給料の代わりにってー』





どうして牢屋に入れられたこいつじゃなく、僕が気分悪い？

91→←89

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す