40話 ページ40
しかし、イルミは視界に入るそれらに興味はない。今脳内にあるのは候補の男だけだ。ウェイトレスからカクテルを勧められるが無視をして男を探す。
そして、曲線を描いたテーブルの奥でポーカーに興じている標的を見つけた。男のテーブルにはチップが積み上げられ、さらに両隣には女を抱えて随分と調子が良いようである。
イルミは必要ならばプレイヤーとしてゲームに参加しようと考えていた。しかし、ゲームを終えた男は片方の女の腰を抱きスロットマシンの方へ移動する。
そして、ずらりと並んだマシンの奥にある幕へと消えていった。イルミもそれに続くが、入ったあとにすぐ従業員に止められた。
「こちら側はお客様のような方が、楽しむルームではございません」
入場口に比べ雰囲気が重くどっしりと構えた従業員が言った。この先は限られた人のみが許されるVIP専用ルームだった。イルミはそんなことだろうと検討がついていたため、その圧には動じなかった。
そして、従業員の顔面に向かって針を投げた。
「あ?ががァっは、うぎッィあ、あ」
「さっきの男はどこに行った」
「アッ3かいノっ、Fルームで、ス」
針が刺さった顔は不快な音を立て変形し、イルミの問いに片言ながらも素直に答える。イルミは「そう」と言って構うことなく歩き出した。
先程まで従業員だったものは自分の意志など既に失っており、置物のように静かにただそこに居るのだった。
男が女の髪の毛を鷲掴み、満杯の水瓶の中へと躊躇なく沈める。その勢いで水が辺りに飛び散った。
しばらくするとぶくぶくと泡がたち、酸素を求めた女が喘ぐ。そしてまた十分に息をする暇もなく、水の中に押し込まれている。
その行為を繰り返しているのは、Aの婚約者候補の男である。そして、水責めを受けているのはその男の隣にいた女だった。
この部屋で行われているのは、男がディーラーの人間の限界を賭けたゲームである。数人が参加しており、水責めを受けた女が何回目で失神するかを賭けていた。
女は手足を拘束され抵抗が出来ない状態で、この状況を理解していない様子だった。
イルミは絶をして潜みながらゲームという名の拷問を見ていた。
トランプのような道具でしかない女は、水責めの他にも様々な方法で苦痛を与えられていた。始めの方は「やめて」「どうして」と叫んでいたが、今はもう虚ろな目をしてぐったりとするだけだ。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています!これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます!おかか様! (10月8日 9時) (レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです! (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです!続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです!頑張ります!更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかか | 作成日時:2022年1月23日 14時