32話 ページ32
｢彼女とデートとか？｣
Aは少しニヤつきながら言った。
イルミに彼女という存在がいるのかは知らなかったが少し揶揄ってみた。というか、いない可能性のほうが高かった。余程のことではない限り他人に興味を示さないイルミには無縁の事だと思っていた。
｢彼女？何言ってんの｣
｢だよねー。質問間違った｣
そして、Aの番になりスローラインの前に立つ。
301の最短は2ラウンド6本だ。先程イルミが20のトリプルを3本決めたので、次で20のトリプル、11のシングル、BULLを決められたらフィニッシュだ。
AはまさかイルミがT20を決めるとは思わなかったので、先行を譲ったことを後悔した。もし同じくT20を決めたとしても、次のラウンドで終わるかもしれないという確率が上がった。
変わって、先ほどAが質問したときには何も思わなかったが、ひとつ彼女というワードがイルミから出たときモヤッとした感覚があった。
どこにあるのか分からない心という無象に小さな波が立った。
すぐに流してしまったがあの返答はいないという解釈でいいのだろか。本当に予定は無いのか。
例え、それらがあったとして私に関係あることなのか。
今、Aの目の前にはやらなければいけない事があるのだがそれに集中できない。必ず成功しないとならないという自分自身にかけたプレッシャーからか。それとも、突如として現れた異物の種が根を生やし始めたからか。
そして、そのままT20を目掛けてダーツを放った。
Aはそこまで思い出してやめた。
確か結果は、理由も分からないままイルミの勝ちに終わり1週間ほど家を空けた。思い出さなくてもいいことを、わざわざ掻き分けて辿ったところでなんの成果もなかった。
｢ダーツとか。あんまり覚えてないや｣
｢へえ、イル兄そういうの得意そう｣
｢オレも今度やってみようかな｣と言って、ミルキはコントローラーからそばに置いてあったお菓子の袋に手を伸ばした。Aは｢それ私も食べたい｣とミルキが袋を開けた動物の形をしたクッキーを指さして言う。
そして、｢いいよ｣と手のひらに2枚乗ったと思ったら、やっていた格闘ゲームのソフトも渡された。
｢これ貸すからまたやるときまでに完璧にしてよ｣
｢他にやってくれる人、姉ちゃんしかいないんだからさ｣
そう言って目線を逸らすミルキを見たAは、もうちょっとだけこの弟のわがままに付き合ってもいいと思った。
｢しょうがないなあ｣とわざとらしく言うのだった。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています！これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます！おかか様！ (10月8日 9時) (
レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです！ (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです！続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです！頑張ります！更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかか | 作成日時：2022年1月23日 14時
