27話 ページ27
「よく来るんですか?好きなのかなーって思って」
「そうなんですよ。大人っぽさのなかに可愛さもあってお気に入りなんです」
Aと少女は気が合った。
それからデザインはこっちの方が好きだとか、有名アーティストとコラボした新作が楽しみだという話をした。
Aはもしかしたら、家族以外にも信頼できる関係を築ける相手かもしれないと少しだけ希望が芽生えた。出会った人の中で初めて友達になりたいと思った。
その意志を伝えようと、勇気を持って息を吸い込んだときだった。
突如、男の怒鳴り声とともにガラスが割れた音がし店内が騒然とした。黒いスーツを着た色黒の男を先頭に同じ格好をした集団が乱入してきた。
「よお、見つけたぜ嬢ちゃん」
「伏せて!」
少女の切迫した声の後、連続して銃声が鳴り響いた。Aは頭に手を乗せられ、無理やり地面に伏せさせられた。いきなり弾丸が飛んできたことより、か弱そうな少女にこんな腕力があったことに驚いた。
そして、すぐ隣から舌打ちと独り言が聞こえた。
「チッ、せっかく紛れ込めたのに」
「行くわよ!」
「え、ちょっと」
素早く少女はAの手首を掴んで裏口から逃げ出した。後ろからまた怒号と銃弾が飛んできたが、彼女たちに当たることは無かった。
Aが去り際に見た店内は、つい先程までの見る影もなく物が散乱し荒れていた。少し心が痛むが出禁にならないことだけを祈り、少女に引かれるまま着いて行った。
それからふたりは大通りを離れ、人通りがほとんどない裏道を走っていた。推測するに、おそらく黒服の男たちはここら一帯を仕切っているマフィアだった。
ファミリーを大事にし、面子が潰れることがあればどこまでも追ってくる。
Aは少女がどうしてマフィアに追われているのか気になったが、誰にでも言えない秘密はあると思って聞かなかった。
すると、前方にあのリーダーと思しき色黒の男が立ち塞がった。引き返そうとしたが後方にも迫ってきていた。
土地勘がある彼らのほうが有利だったようで、知らないうちに挟み撃ちにされていた。
ふたりは自然と背中合わせになり彼らと対峙する。色黒の男と金髪の少女の視線がかち合う。
「嬢ちゃんよお。痛いことしねえうちに渡しな」
「嫌よ。誰が渡すもんですか」
ジリジリと距離を詰められ、彼らの拳銃の射程距離内に入る。意味ありげな薄ら笑いを浮かべながら迫ってくる様子は、誰が見ても少女たちの方が不利であった。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています!これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます!おかか様! (10月8日 9時) (レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです! (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです!続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです!頑張ります!更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかか | 作成日時:2022年1月23日 14時