11話 ページ11
それから数ヶ月が経ち弟が産まれた。ある程度落ち着き、今はキキョウの部屋で執事たちが世話をしているとのことだった。
Aはその事を執事から伝えられ、耐電流の訓練を受けていたが途中で抜け出した。Aが今まで途中で訓練を放棄したことは無かった。それくらい弟の誕生を楽しみにしていた。
訓練室を飛び出しても、担当していた執事が追ってこなかったのは彼女の気持ちを汲み取ってのことだった。
Aはとても興奮していたが、赤ん坊がびっくりして泣かれるのも困るのでゆっくりドアを開けた。
部屋にはベビーベッドと天井に吊るされたモビールが新しくあった。モビールが回って出るオルゴール音だけが鳴っていて、余計な音を出してはいけないと圧をかけられているようだった。
ベビーベッドの傍に椅子を置き座っていたキキョウが、Aに気がつき手招きをして迎え入れた。
出産にあたってキキョウの身の回りの世話をしていた執事たちは離れたところに立っていた。
｢あら、赤ちゃんを見に来たの？」
｢うん。寝てる？｣
キキョウが秘密の話をするように小さな声で話すのでAもそれに合わせた。意外とベッド柵が高く、Aの身長では背伸びをして中を覗けるくらいだった。
そして、いよいよ対面した。
赤ん坊は真っ白なタオルに包まれており、顔と手だけそこから出ていた。短く生えた髪の毛は黒く大きさは50cmぐらいで、すやすやと寝ていた。
Aが初めて見た赤ん坊の感想は｢小さい｣だった。
自分も5年前はこんなに小さな人間だったのかと信じられないと思った。そして、産まれてから間もないこの赤ん坊を触ってみたいと思った。
｢ねえママ、触ってもいい？｣
｢フフ、ダメよ｣
｢どうして？｣
キキョウがAの頬を指でつついた。すると、肌と肌が触れ合う前にパチッと静電気が流れた。まだ体内に電気が残っていたようだった。
Aは指摘されてようやく自分の髪の毛が少し浮いていたのに気がつき、耳元でパチパチと鳴っているのが聴こえた。
｢おいで｣
その代わりというようにキキョウはAを自分の膝に乗せた。触れる度に静電気が発生していたが、ふたりともこの程度は痛くなかった。
また、キキョウは母親としてこの上ない幸せを感じていた。産まれてきたこの子の将来を願った。
今回は触らせてはもらえなかったが、Aはこの小さな存在になんともいえない感情になった。
後ろから抱きしめられた背中からじんわりと母親の体温を感じた。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています！これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます！おかか様！ (10月8日 9時) (
レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです！ (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです！続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです！頑張ります！更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかか | 作成日時：2022年1月23日 14時
