22話 ページ22
重厚な椅子に座る主人と頭を垂れる執事。
猛獣をも飼い慣らすこの屋敷の主には風格があった。また、きっちりとした黒スーツにクロスタイをつけた執事には忠誠心があった。金だけの繋がりではない年月をかけて築いた信頼関係がふたりの間にあった。
薄暗い部屋の鈍い光で彫りの深さが浮かび上がる。シルバの目がゴトーを射抜いた。
｢ゴトー。頼んだ｣
｢かしこまりました。旦那様｣
訓練室でAは近接格闘術を習っていた。
自分の倍はある屈強な男の執事が相手をしていたが、演習で負けることは無かった。男はその術に長けているがAの体術のスキルには適わない。
例え相手が武器を持っていようがお構いなしに、その俊敏な動きで何度も首を取った。
もはや習うというよりは、ひとつひとつのパターンに対しての確認をするようだった。
一息ついたころにノックと共にゴトーがやって来た。
｢失礼致します｣と言ったあと、その場にいた執事に退出するよう指示しAとふたりきりになった。
Aはどうしてゴトーが来たのか疑問に思ったが、大抵はシルバ絡みのことだったので素直に従った。
ふたりの間に流れた無音の後にゴトーは口を開いた。
｢A様、念能力はご存知ですか｣
｢ねんのうりょく？｣
Aが初めて聞く言葉である。小首をかしげて考えをめぐらすが答えは出ない。その様子を見たゴトーは眼鏡のブリッジを上げると説明を始めた。
人間が身体から発するエネルギーをオーラといい、それを自在に操作、増減する能力を念能力と呼ぶ。
基本は攻撃と防御。念による攻撃は効果抜群で習得しているのとしていないのとでは天と地以上の差がある。
生命エネルギーを使った念の攻撃は無機物よりも生命への攻撃に適しているといえる。
｢A様には念能力を習得してもらいます｣
｢私でもできる？どうしても？｣
Aは次々と述べられる単語を理解しようと努めるがすんなりとは頭に入ってこない。
言葉や文字から得るより経験や映像から学ぶ方を得意としていた。昔から難しいことを脳内で処理するのは苦手だった。行動に移してから初めて理解することが多かった。
このときは、とにかく念は凄いのだというなんとも幼稚で単純化した内容に終わった。
｢旦那様からの言いつけですので｣
｢パパからの命令なら断れないじゃん｣
Aは口を尖らせて渋々納得した。駄々をこねるかと思いきや彼女の中でもシルバが絶対だった。
ゴトーは｢いいですか｣と続けて話す。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています！これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます！おかか様！ (10月8日 9時) (
レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです！ (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです！続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです！頑張ります！更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかか | 作成日時：2022年1月23日 14時
