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16話 ページ16

小さな白い花が風で揺れていた。細かい花びらがたくさん付いていたがその風で散ることは無かった。
また、辺りを見渡せばその花が大量に咲いており、身を寄せあっているようだった。


そして、その場に通う者が一人いた。
しゃがみこみ、根の方は地面に置いていくスタイルで、茎の部分を掴み引き抜いた。その状態が納得のいく出来のようでとても満足した表情だった。

Aはミルキに花の冠を作ってあげようと庭の花を採集していた。冠が作りやすいようになるべく茎が細くて長いものを探して束にしていた。

これまでにも作ったことはあったが、受け取ってくれる人がいなかった。
イルミは「要らない」と言い、執事は「お気持ちだけで十分です」と言った。家族にあげる頃には状態が悪くなっていたため、ひとりで作ってひとりで消費していた。


イルミと可愛らしい遊びをしなかった分、ミルキがままごとに付き合わされていた。ミルキは五つ上の姉の言うことはよく分からなかったが、毎回オリジナルの設定に従い、その通りに物語は進行していった。

ミルキは姉妹やペットの犬や猫になることが多く、大体世話を焼かれた。それにはAの同性との関係の憧れや愛でる対象への欲求が見え隠れしていた。


ミルキはまだ一度もままごとを断ったことはないが、そろそろ違うこともやってみたいと思っていた。Aと過ごす時間は楽しかった反面、終わった後は謎の疲労感に襲われていた。
片方があまり乗り気でないその遊びはキキョウを彷彿とさせるものだった。


また、自然豊かなゾルディック家の敷地には植物の他にも昆虫類が多く生息していた。特別珍しいのはいないが種類が豊富だった。


「あ、蝶だ」


ある程度の量を取ったあとミルキの元へ戻ってきたときだった。雑木林の方から蝶が数頭飛んできた。
翅の色から予測するにモルフォチョウだった。
青い輝きを放ちながら優雅に、そして予測不能で複雑な動きをして飛ぶ。森の宝石ともいわれるこの蝶は翅の表側に金属のような光沢をもつのが特徴である。

また、ここにいるモルフォチョウの翅には丸い円を書くように白いライン模様がついていた。
やがて一頭がAが持っていた花冠にとまった。


「それキプリスモルフォ」
「へえ、詳しいね」


余程この蝶が珍しかったのか、その様子を見ていたイルミがAのところまでやってきた。Aのすぐそばでまじまじと見た。青い翅の裏側は灰色だった。

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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています!これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます!おかか様! (10月8日 9時) (レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです! (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです!続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです!頑張ります!更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おかか | 作成日時:2022年1月23日 14時

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