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「心霊」



「写真?」



「うん……」







放課後のまだ明るい女子トイレの中。



いつも通り女子トイレに集まっていた僕達は、遅れてやってきた寧々の言葉に疑問符を浮かべた。



寧々の手には園芸部で使っているらしい普通のノートが握られていた。







「この間ね、葵に大事な話があるって言われて 改めて話を聞いたんだけど……」







寧々が言うには、園芸部の活動記録が書かれたノートには記録と一緒に写真が貼られていて、

その写真のうちの寧々が写っているものだけに人間じゃない何かが写っているらしい。



ノートを借りて花子くんと光の間から覗いてみると……







「これは……!」







トウモロコシを両手に楽しそうな寧々と葵……の周りにトウモロコシを持った手が沢山。



心霊写真だなんて聞かなければただの楽しい写真に見えるだろうな、これ。







「やべー」



「トウモロコシ食べたかったのかな」



「楽しそうっスね……」



「うん……
写真自体は不気味っていうより愉快なんだけど……写真を見た時から変なことが起こるようになって」



「変なこと?」







楽しそうな寧々達と手を見ていると、寧々が話題を戻した。







「生えるのよ……手が、生えるの」







頭を抑えながら教えてくれた寧々に 生唾を飲み込む僕達。



手が……現実にも出てきてるってこと……?







「とってもさりげないんだけど……気がついたら視界の隅で生えてるの。
なにか悪いことしてくる訳じゃないんだけど、もうどうしようもなく気になって気になって〜〜!」



「ダイジョーブ?」



「寧々……」







隅にうずくまったかと思えば 弾かれたように振り向いた寧々が指さした先には……沢山の手がにょきにょきと生えてきていた。



窓側にカラフルな手が沢山……これ両手ちゃんとそろってる?







「一体何が目的なの!?足!?私の足を掴むつもりなのね!?」



「んなっ!寧々の高貴なる足を!?」



「そうは言ってないのよ……」



「なんだと!!なんて邪悪な手なんだ……許せねー!」







何を思ったのかやけに嬉しそうな顔で、手を祓う宣言をした光が窓枠に生えている手に近づいた。







「やい、腕野郎!俺と勝負だ!!」







そう叫んだ光は右腕を立てて腕相撲のよう……なんでそうなった??



一瞬だけ空気が固まった気がした。



そりゃそうだ。

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作者名:弥夜月 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年4月5日 12時

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