玖-19 ページ32
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光の顔を見ていたら思わず涙を流してしまった……僕達全員に拒否された光は、離れた場所でうずくまってしまった。
いや、ほんとにごめんって……
「それより、ミライを捕まえる方法でも考えてよね」
「そっ、そうね!
ミライちゃんって何か弱点とかないの?」
「今までの感じだとただのチートにしか見えないよね〜」
「弱点ねえ……ミライは僕の時間停止もきかないけど、まず頭が悪い。
食い意地が張ってる、毛繕いが好き、あと素早い。
そして頭が悪い、とにかく頭が悪い」
「頭悪い情報しか頭に入ってこない……」
「奴の知能と素早さはネズミ並みだね」
ネズミ並み、と言った蒼井に何か思いついたのか 考え込む寧々。
「ネズミ……確かにその子、うちのブラックキャニオンに似てるかも……!」
「ブラ……えっなんて?」
「ブラックキャニオンはうちのハムスターなのよ」
そう言ってスマホで写真を見せてくれる寧々。
うわ、ハムスターなんて久々に見たかも……可愛い……。
そしてハムスター話でワイワイしてる最中、少し離れた場所で花子くんと光が会話してるのが聞こえてきた。
「夢乃があの子に触られないようにして、絶対に」
……気の所為だってことにしておこう。
その後も何言か会話をしていたが、なるべく意識を寧々のハムスターに向けていた。
そして寧々がふと思いついたらしく、ミライを捕まえる作戦を話し出した。
話し終えた寧々は、尚も向こうで話し続けている2人を呼びに行ってしまった。
「花子くん!光くん!聞いて聞いて、ミライちゃんを捕まえる作戦、これで完璧よ!」
改めて花子くんに作戦を話し始める寧々を横目に、何か納得いってなさそうな顔をしている光に近づいた。
「なんだ……?」
「どーしたの?」
「おわっ、お、脅かすなよ!」
ごめんごめん、と手刀を切って、そのまま質問をなげかけた。
「ねーねー、花子くんと何話してたの?」
「べ、別に何も……」
「ふーん……本当は?」
「な、何も話してねぇって!!」
「ほんとかな〜?」
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