捌-2 ページ4
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「……少年、何それ?」
またある日の放課後、久々にトイレ掃除に参加していた時。
トイレに駆け込んできた光が連れていた人に対しての花子くんの反応だ。
今更だけど花子くんも光も、当たり前のように女子トイレにいるよね。
いや、花子くんは仕方ないか。うん。
……とまあ、おふざけはそれくらいにして、光にカーディガンを掴まれた少年をみやる。
淡いピンク色のサラサラの髪、同じ色の大きな瞳。
夏なのにマフラーにカーディガンといういまいちよく分からない風貌の彼に、僕は見覚えがあった。
「中等部の昇降口で悪さしてた悪霊を捕まえてやった!!」
「ふーん……」
ブイサインを突き出す光の横で、必死に暴れる彼……もとい、ミツバ。
口にガムテープは可哀想でしょ……めっちや叫ぼうとしてるし……。
「これからショーメツさせんの?」
「そ……そういうのは止めたんだよ。
でっ、それ以外の方法でどーにかできねぇかと思ってよ!」
「どーにかねぇ……」
光の質問に、ふよふよと空中に浮いていた花子くんはミツバに近寄って凝視した。
流石に数少ない死人友達を失うのは辛いんだけど……いや、まあミツバはきっと僕のこと覚えてないと思うけど。知らないけど。多分覚えてないよねうん。
「……ま、未練があるからここにいるんでしょ?
それなんとかしてあげればいいんじゃない?」
「なるほどな!
そうと決まりゃ話は早ぇ!
行くぜ悪霊、てめぇの未練を晴らしてやる!!」
花子くんの助言に納得したらしい光は、再び走ってトイレの外へ向かっていった。
元気だなぁ……。
……横を見ると、花子くんと寧々は入口の方を見て会話をしている。
今なら、止められないかな。
音を立てないように入り口に近づき、そのまま追いかけるように外に飛び出した。
「!え、ちょっ、夢乃!?」
「ゲンキだね〜、夢乃は」
「花子くん呑気すぎない!?」
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