玖-15 ページ28
*
「てことはさー、君も俺も そのミライを捕まえたいってことだよね。
それじゃここはキョーリョクして、一緒にその子を捕まえようよ、ネ」
蒼井に片手をさしのべてニコッと笑う花子くん。
嫌そうな目でその手を凝視する蒼井に何を思ったのか 寧々が声をあげた。
「ちょっといい?
さっきから気になってたんだけど……
茜くんって……怪異のこと嫌いなの?」
「……そんなこと、当たり前でしょ。
大っ嫌いだよ!
僕からすると……逆に八尋さんがソイツらと仲良くしてることが疑問だよね。
さっきソイツがアオちゃんに何したか、八尋さん 聞いたでしょ?
よく平気でいられるよね〜。
アオちゃんと君って親友同士じゃないっけ?」
なんの悪びれもなく次々に言葉を浴びせる蒼井。
僕だって半分は怪異に染まってる訳だから、多少は傷つく。
勿論自分の存在を否定されてる気分になる、って言うのもあるけど、なんでか花子くんが悪く言われてるのを聞くのは好きじゃない。
「でも、花子くんは悪い子じゃないのよ。
確かにちょっと下_劣だけど……葵のことだって考えがあっての事で……きっと本気で傷つける気なんて……」
「ああ、下_劣なのは間違いないっす」
「まあ……下_劣な部類に入るだろうね?」
「ネー、下劣って言うのやめない?」
「悪い子じゃない?考えがあって?へー……
でもそいつさぁ」
そこまで言って、花子くんの腕を掴む蒼井。
「人殺しなんだよね?
他2人の時計守もそうなんだけどさ、怪異ってやつはみーんな分かってないんだよね。
生きているってただそれだけのことが、どんなに大切なことなのか。
人の命っていうものが、どんなに尊いものなのか」
「放し……」
「改心した悪役って本当ムカつくよ。
今はいい子だったら何?昔のことは帳消しって?
……笑える。
いい?これからお前がどんないいことをして誰を助けたとしても、お前がやった事は取り戻せないよ、永遠にね。
だって人は死んだら生き返らないから」
花子くんに顔を近づけてそう言いきった蒼井は、そのままぱっと手を離した。
手袋を手にはめ直した蒼井は言葉を続けた。
「でも、安心して。
僕もさっさとミライを捕まえたいからね、協力してくれるってなら大歓迎。
たとえ人殺しだろうとね。
よろしく、7番様」
27人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ