玖-14 ページ27
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「なっ……なんなのこれ!?」
「皆が……!爺さんと婆さんに……!!」
とても学校とは思えない……という程の人数が ご老人になっていた。
床でお茶を嗜んでいたり、楽しそうにしゃし……あれ光のクラスメイトじゃない?
とまあ、とにかく凄いことになっていた。
「ちくしょうっ、このままじゃ学園が老人ホームになっちまう……!」
「僕介護なんてした事ないよ……?」
「なんて怪異なの……あっ」
「ん?」
寧々が向いた方に目を向けると、スマホを片手に歩く山吹がいた。
「よう、八尋じゃん。
なあこれどーなってんだ?」
「山吹くん!
キャーーっっシワシワになってく!!」
そして流れるように段々とご老人に……
幼児化ならぬ老人化なんて誰得なんだ!犯人か!!
そしてふと山吹の後ろにいる小さな人影に目が向いた。
「見つけた!」
突然そんな声をあげた蒼井は、老人化した山吹の元に走った。
「クソッ、いい加減にしろよな……ミライ!」
ミライ、と呼ばれたその子はツインテールを揺らしてくすすと笑ってみせた。
機敏な動きで僕達の傍を走り抜けて消えていく。
「消えちまった……」
「……やっぱり、この一連の騒動は君達が原因だったんだね、時計守」
何処からか現れた花子くんは、蒼井の懐中時計を片手に 包丁を蒼井の首に突きつけていた。
「……っ、そうだよ。
“ミライ”が脱走したんだ」
「ミライが」
「脱走?」
「そ、僕らは3人いるってのは知ってるよね。
そのうちの1人、未来を司る時計守。
名前が無いらしいから僕はそう呼んでる。
さっき見えただろうけど、ミライは手で触ってるものの時間を進めることができるんだ。
だからなんにも触れないように手袋させて、爺さんが境界に繋いどいてた筈なんだけど」
「爺さん?」
「ああ、過去を司る方の時計守。
こっちはまだ話が通じる」
光の質問に 話を区切って答える蒼井。
口ぶりからしても、よほど怪異が嫌いなのだなと思う。
「そうは言っても、所詮怪異だけどね。
早急に捕まえるように言いつけられてさ、忙しいってのにいい迷惑……つーかお前が逃がしたんだろうが……」
壁に手をついてぶつぶつと呟く蒼井が 本当に忙しくしてるのはよく分かる。
だってあの輝の元で副会長してるんだよ……?僕なら絶対無理だね
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