玖-5 ページ18
*
「あれ?」
「ねーねちゃんっ」
聞きなれた声が聞こえて、反射的に後ろを振り返る。
声の主……葵は、寧々に笑いかけながら背中をとん、と叩いた。
僕が現在進行形で怪異の姿だからか、目は合わない。
「夢乃ちゃんと旧校舎の方に行ったと思ったのに、どうしたの?」
「あ、葵……」
「……」
……はずなのに、何処からか視線を感じた気がした。
葵のすぐ後ろには真顔の蒼井が立っていた。
まさか……そんな訳ないよね?
「ヤシロ、悪いけど」
「え」
「ちょっと入りまーす」
寧々の肩を掴んだ花子くんは、そのまま足から寧々の体に入り込んだ。
怪異ならではのあれですよ、あれ。幽体離脱的な……(逆)
因みに僕はどっちにも属さないのでどっちにもなれません。
言い様によっては、体を乗っ取られなくてお得。
ひぃ、と悲鳴をあげた寧々はそのまま力を抜いた。
「寧々っ!」
「先輩ーーっ!?」
慌てて体を支えようとしたけど、今それをやれば 空中に寧々が浮いてる状況になるよね。
一瞬だけ体に触れたけど、あわてて光に寧々を託した。
察してくれたらしい光は、そのまま両手で寧々を支えてくれた。
「寧々ちゃん!?」
「どうしたの?」
「大丈夫っすか?」
「保健室行った方が……」
「ふー…………葵」
息を吐いた寧々は、そのまま葵の手を壁に押し付けた。
現代の少女漫画で言う、かべどんつてやつです、多分。
寧々がね、いつか壁ドンされてみたい〜!って言ってたので死ぬ気で覚えたのはいい記憶。
「私に何か隠してること、なぁい?」
「花子!?」
「アオちゃん!!」
「「どーなってんだよぉおおお!?!?」」
次回、修羅場不可避☆
───
そういえば夢乃の怪異時のイラストって載せたこと無かった……ですよね、載せます
影は気にしたら負けです
普段の姿もそうですが、頻繁に見た目の記述をする訳でもないので あんまり気にしなくても大丈夫です〜
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